安全運転のポイント

11月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成18年11月


 平成11年11月、東名高速道路において発生した飲酒運転による死亡事故を契機として、道路交通法改正や刑法に危険運転致死傷罪が新設されるなど飲酒運転に対する罰則が強化されました。そのため飲酒運転による事故は減少傾向を示していました。
 しかし、今年の8月、飲酒運転による悲惨な死亡事故が発生し、その後も飲酒運転が後を絶たず、改めて大きな社会問題となっています。飲酒運転は注意力や判断力の低下を招いて見落としや見誤りが増えるだけでなく、危険に対する感覚が麻痺して無謀な運転となり、それが死亡事故などの重大事故につながっていく極めて危険な行為です。これからの時期は、お酒を飲む機会も増えていく時候でもあります。今一度、ドライバーの皆さん一人ひとりが飲酒運転は絶対にしないという決意を新たにするときです。

「酒に強いから大丈夫」は危険な錯覚
 飲酒運転をするドライバーの中には、「自分は酒に強いから、少しくらい飲んでも大丈夫」と考えている人も少なくないようです。しかし、これは非常に危険な錯覚です。
 お酒に強い人は弱い人に比べて「酔い」を自覚しにくいといえますが、ここに大きな落とし穴があります。というのは、「酔いの自覚がない」から、「アルコールの影響もない」とはいえないからです。科学警察研究所の実験データによれば、お酒に強い人でもアルコールが入れば、低濃度の場合でも反応時間に遅れがみられ、高濃度になるほど遅れの時間は長くなるという結果が出ています。つまり、「酔い」の自覚がなくても、アルコールの影響を確実に受けているということです。このことを忘れて、「酒に強いから大丈夫」と思い込むと、取り返しのつかない事故に結びつきます。少量のお酒でも運転に危険な影響を及ぼすということをしっかり認識してください。
  
アルコールはなかなか消えない
 お酒を飲んでも数時間眠れば大丈夫と考えているドライバーもいるようですが、これも危険な錯覚です。一般的に摂取したアルコールは、体重1キログラムあたり1時間に100〜140ミリグラムの純アルコールが処理されます。したがって、体重70キロの人なら1時間に7〜10gの純アルコールが処理されることになります。
 次の計算式はアルコールの処理時間の目安と体重70キロの人の場合の例を示したものです。
 これを見ると、ビール大瓶1本で、2.5時間〜3.6時間の時間を要することがわかります。
 
 これを約3時間とすると、ビール大瓶3本を飲んだ場合は、アルコールが処理されるまでに約9時間もかかることになります。このようにアルコールが体内から消えるにはかなりの時間が必要となるのです。
 なお、アルコールが処理される時間は体調その他の要因によって変わりますから、上記はあくまでも一般的な数値であり、最低この程度の時間はかかると考えておくべき数値だといえます。

お酒が抜ける目安(体重70kg)

ビール大瓶3本   約9時間
日本酒3合   約7.5時間
缶チューハイ(350ml)3本   約7時間
焼酎300ml   約7時間
ワイン300ml   約3.5時間
 
飲酒運転と罰則
 飲酒運転に対する罰則は非常に厳しく、酒酔い運転の場合、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となり、違反点数も25点となります。したがって、酒酔い運転は、事故を起こさなくても違反だけで、欠格期間(免許を取得できない期間)が2年の免許取消しとなります。
 また、酒気帯び運転の場合はそれだけで免許停止処分となりますが、呼気中アルコール濃度が0.25mg/1以上の酒気帯び運転で事故を起こせば、違反点数の13点に加えて2点以上の事故点数が付加されますから、合計で15点以上となり、最低でも欠格期間1年の免許取消し処分となります。
 なお、二日酔いでも、酒気が残っていれば「酒気帯び運転」となります。
危険運転致死傷罪が適用されることも
   飲酒運転で人身事故を起こし、「危険運転致死傷罪」(刑法第208条の2)が適用されれば、死亡事故の場合は、1年以上20年以下の懲役、負傷事故の場合は15年以下の懲役となります。
 
お酒を勧めた人や同乗者も処罰の対象となる
 飲酒運転は、お酒を飲んでハンドルを握ったドライバーに責任があることはいうまでもありませんが、運転することがわかっていながらお酒を勧めたり、飲酒運転を知っていながら同乗した人も違法行為を幇助した責任が問われ、罰金等の刑事処分を受けます。
 また、お酒を勧めたり同乗した場合などは、刑事処分だけでなく、次に掲げる判例のように、被害者に対する損害賠償責任を問われることもあります。
 

飲酒運転に対する罰則

違反行為

違反点数

罰 則

酒酔い運転

25点 懲役3年以下
又は50万円
以下の罰金






呼気中アル
コール濃度
0.25mg/l未満
13点 懲役1年以下
又は30万円
以下の罰金
呼気中アル
コール濃度
0.15mg/l以上
0.25mg/l以上
 6点

<お酒を伴う会合>

車で行かないのが原則です。やむを得ず車を利用せざるを得ない場合は、運転代行業者に依頼する、グループの場合ならあらかじめ帰路の運転者を決めておき、その人はお酒を飲まない(飲ませない)ようにする、などお互いに飲酒運転をしない(させない)ように配慮しましょう。
 

― 判例 ―

 飲酒をして居眠り状態となり歩行者をはねて死亡させた事故について、事故を起こしたドライバーAと長時間にわたって飲酒を共にしていた同僚Bに対して、飲酒を共にしていたことは飲酒を勧めたことと同一視されること、かつ、Aが飲酒運転するのを制止する義務を怠ったことなどから、Aの飲酒運転を幇助したとみなされるとして、共同不法行為責任によりBの損害賠償責任を認めた(東京地裁・平成18年7月28日判決)。
 
 飲酒運転は社会的犯罪であり、いかなる理由があろうと決して許されるものではありません。今後、飲酒運転に対する取り締まりは一段と強化されていくことが予測され、企業や官公庁などにおいても、飲酒運転に対しては厳罰に処する動きが強まっています。飲酒運転はまさに身の破滅に繋がります。飲酒運転は、100%運転者本人の意思で避けることができるものです。
 言い古された言葉ですが、「飲んだら乗るな」「乗るなら飲むな」を徹底するとともに私たちみながお互いに「飲酒運転をしない・させない」ようにしていきましょう。