安全運転のポイント

3月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成18年3月


 平成17年中の交通死亡事故の特徴
 昨年の交通事故発生件数は933,828件(前年比−18,363件 −1.9%)、死者数は6,871人(前年比−487人 −6.6%)、負傷者数は1,156,633人(前年比−26,487人 −2.2%)とそれぞれ前年よりも減少しました。特に死者数は昭和31年以来、49年ぶりに7,000人を下回りました。今月は警察庁から発表された資料(平成17年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況)から、平成17年の交通死亡事故の主な特徴をまとめてみました。


 
全体的に減少したが、負傷者数は100万人を超えている
 表1は、平成16年と17年の交通事故発生件数、死者数、負傷者数を示したものです。発生件数、死者数、負傷者数のいずれも減少しています。しかし、負傷者数は相変わらず100万人を超えており、決して楽観できる状況ではないということに留意する必要があります。
 
死者減少の要因
 交通事故による死者数は、ここ数年減少傾向にあります。警察庁はこの要因として@「シートベルト着用率の向上」A「事故直前の車両速度の低下」B「悪質・危険性の高い事故の減少」C「歩行者の法令遵守」をあげています。
 シートベルトの着用率の向上が死者数の減少要因になることは言うまでもありません。ただ、シートベルト非着用者の座席位置別の死者数をみると、運転席が多いのは当然として、助手席よりも後部座席のほうが多いという点に留意する必要があります(図1)。後部座席の人にもシートベルトを必ず着用させることが大切です。
 図2は、死亡事故のうちで運転者が飲酒をしていた件数の推移を示したものですが、平成13年の道路交通法改正による飲酒運転の罰則強化を契機として、大きく減少していたものの、平成16年(710件)と平成17年(707件)では、わずか3件しか減少していません。これは改正当時の飲酒運転防止に対する意識が薄れてきていることを示していると考えられます。
 
高齢者の死者数は全体の4割を超えている
 死者数を年齢層別にみると、全年齢層にわたって前年よりも減少したというものの、65歳以上の高齢者の死者数は全体の死者数の42.6%を占め4割を超えています(図3)。
 また、高齢者は自動二輪車乗車中を除いて、自動車乗車中、原付自転車乗車中、自転車乗用中、歩行中のいずれにおいても死者数が最も多くなっています。




 
夜間は歩行中の死亡事故が多い
 死亡事故を昼夜別にみると、昼間は3,206件(48.4%)、夜間は3,419件(51.6%)で、夜間のほうが多くなっています。昼夜別に状態別の死亡事故件数をみると、歩行中の死亡事故については夜間が昼間の2倍以上となっていますが、それ以外については昼間のほうが多くなっています(図4)。
 歩行者の多くは高齢者と考えられますが、昼間における高齢者の歩行中の死者数は506人、夜間は866人となっています。したがって、夜間は高齢者に特段の注意が必要であることはいうまでもありませんが、昼間においても高齢者の動きには十分な注意が必要となります。
 
漫然運転が最も多い
 車両(原付以上)運転者が第1当事者となった死亡事故件数を法令違反別にみると、前年同様、漫然運転(920件)が最も多く、次いで脇見運転(805件)、最高速度違反(658件)となっています(図5)。
 漫然運転や脇見運転を総称して「安全運転義務違反」(道路交通法第70条の規定に違反する行為)といい、このほかに運転操作不適や動静不注視、安全不確認などがあります。「安全運転義務違反」による死亡事故件数は3,337件で、全体の約55%を占めています。
 運転中にぼんやりしたり、脇見をする、あるいは他車や歩行者から目を離すといった、ちょっとした不注意や油断が、取り返しのつかない死亡事故につながっているということをしっかりと認識する必要があります。
 
横断中や出会い頭衝突が多い
 事故類型別の死亡事故では、横断中(人対車両 が最も多く、次いで出会い頭衝突(車両相互 作物衝突(車両単独1,045件)の順となっています(図6)。
 横断中と出会い頭衝突については前年よりも減少しましたが、工作物衝突は増加しました。工作物衝突のなかでは、防護柵等(ガードレールなど)が最も多く(297件)、次いで電柱(261件)となっています。工作物衝突は他の事故に比べて軽く考えられがちですが、実際には死亡事故の約16%を占めています。したがって、交差点やカーブなどではスピードを落とし慎重な運転をする必要があります。