安全運転のポイント

11月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成17年11月


 道路と車と人が複雑に交わる交差点とその付近は、最も事故の起こりやすい場所であり、毎年人身事故の約6割、死亡事故の約4〜5割が発生しています。交差点とその付近における人身事故を類型別にみると(平成16年版交通統計年報/交通事故総合分析センター)、「出会い頭衝突」「追突」「右折時衝突」の3つで7 割以上を占めており、この傾向は過去数年間ほとんど変わっていません。そこで今回はこの3つの事故パターンを取り上げ原因と対策について考えてみましょう。


出会い頭衝突
 交差点で最も多い事故パターンは「出会い頭衝突」であり(図1)、特に信号機のない交差点では「出会い頭衝突」が過半数を占めています。「出会い頭衝突」は一時停止による安全確認が不十分であることが大きな原因と考えられますが、その要因としては「車や自転車は出てこないだろう」という思い込みや「止まるのが面倒だ」という意識があげられます。
 したがって、「出会い頭衝突」を防止するには、常に「車や自転車が出てくるかもしれない」と予測して、まずしっかり止まる、そして確実に左右の安全確認を行う、この基本を遵守することが最も重要なポイントになります。
追突
 追突にはさまざまなパターンがありますが、典型的なものとして、次の2つのケースがあげられます。
@ 赤信号や黄信号で停止している車への追突
 赤信号で停止した車への追突は、信号の見落としによるものが大半と考えられます。その原因としては、脇見運転や考え事などによる漫然運転があげられます。一方、黄信号で停止した車への追突は、信号の見落としというよりも、「前車は停止せずに交差点に進入するはずだ」という「思い込み」によるものが大半と考えられます。実際、黄信号に変わると減速するよりも加速して強引に交差点に進入しようとする車が少なくありません。
 したがって、交差点に接近したときは信号を確認するとともに、黄信号になった場合は交差点に接近していて交差点手前で安全な停止ができない場合(後続車に追突されるおそれがあるような場合)を除いて、徐々に減速し停止する必要があります(図2)。
A 右左折のため停止した車への追突
 車の動きに注意を払わず右左折の合図を見落としたり、前車との車間距離を十分にとっていなかったことなどが大きな原因と考えられます。したがって、交差点に接近したときは、前車の動向(とくに右左折の合図)によく注意をするとともに、前車が右左折の合図を出したときは停止するかもしれないと予測して、スピードを落とし車間距離をとる必要があります。
右折時衝突
 右折時衝突の典型的なパターンは対向直進車との衝突ですが、これには、主として4 つのケースがあります。
@ 対向右折車のために対向車線の状況が確認できず、直進車の発見が遅れて衝突する(図3)
 直進車の有無が確認できないにもかかわらず、「直進車はいないだろう」と誤った判断をして右折することが大きな原因と考えられます。したがって、対向車線の状況が確認できないときは、対向車線の状況が確認できるところまで、徐々に進行して一時停止し、対向車の有無をよく確認する必要があります。
A 対向車に道を譲られて右折し直進車と衝突する
 道を譲られると「早く右折しなければ道を譲ってくれた相手に悪い」と考えて、安全を確認しないまま右折していくことが大きな原因と考えられます。したがって、道を譲られたときでも、対向車の側方の状況が確認できるところまで徐行して進んで一時停止し、側方の安全確認をする必要があります。
B 対向直進車の後方を進行してくる車と衝突する(図4)
 対向直進車がトラックやバスなどの大型車の場合、その後方が死角となり後続の直進車が見えない状態になります。そのため「後続車はいないだろう」と判断して大型車の通過直後に後方の状況を確認しないまま右折していくことが大きな原因と考えられます。したがって、対向直進車の通過後には必ず後方の状況を確認する必要があります。
C 対向直進車を確認していながら、速度や距離の判断を誤って衝突する
 対向直進車が車体の小さい二輪車の場合によく起こるもので、対向直進車の速度を実際よりも遅く判断したり、実際よりも遠くにいるように判断して「自車のほうが先に右折できる」と考えて右折をすることが大きな原因と考えられます。また、夜間はヘッドライトしか見えないケースが多いため、対向直進車の速度や距離の判断を誤りやすくなります。したがって、対向直進車が接近しているときは無理をせずに通過するのを待つ必要があります。

 

交差点を安全に進行する義務
 交差点とその付近は最も事故が多発する場所です。そのため道路交通法第36条第4項において「車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定められています。
 交差点とその付近ではわずかな油断や気の緩みが事故につながりますから、常に緊張感を持った慎重な運転が求められます。