安全運転のポイント

6月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成17年6月


 物損事故の中で大きな割合を占めるといわれているバック事故。企業などの場合には事故件数の30〜40%をバック事故が占めるところも多いといわれています。そして、このバック事故の多くは、駐車場などの構内および構内と道路との間の出入りの際に発生しています。そこで、今月は駐車場および駐車場と道路との間の出入りの際の事故対策という視点で考えてみたいと思います。

駐車場での走行は軽視されがち
 駐車場内は、走行速度が遅いことや他車の大半が止まった状態にあることなどから、道路を走行するときほどの注意が払われず、緊張感が薄れたり油断が生じてしまいがちです。そのため「こすった」、「かすった」という軽微な事故がよく起こります。
 しかし、もし、「こすった」、「かすった」という事故を軽く考えているとしたら、それは大変危険なことです。駐車場には人も歩いているということを忘れてはなりません。特にスーパーやレストランなどの駐車場では、車から降りた、あるいは車に向かう子供や高齢者も歩いています。従って、重大な人身事故につながる可能性が常に潜んでいるといえます。また、駐車場内を走行する車両は一般の道路とは異なり動きが不規則で錯綜しがちです。駐車場内の走行を軽視せず、車を止めるまでは決して気を抜くことなく慎重に運転することが求められます。
駐車場での事故のパターン
 駐車場でよく起こる事故パターンとして、次の2つがあります。
駐車・発進する際に左右の駐車車両へ接触する。(図1)
駐車・発進する際に駐車場を走行する他の車両や歩行者、看板などの構造物と接触する。(図2)
 駐車場での事故が多い原因としては、前述のとおり「一般の道路では基本的には同じ車線では車両は同じ方向に進もうとしている」のに対し、「駐車場内では車両の動きが不規則で錯綜している」、という駐車場特有の状況がありますが、運転者側にも、次のような駐車場特有の原因があると考えられます。
 
ひとつのことに神経が集中し、他のことへの注意が不足しがち
駐車スペースを探すことに気をとられて、発進しようとしている車や歩行者などの動向を把握していなかったり、後方に注意するあまり左右の側方間隔への注意がおろそかになったりします。
障害物となる構造物(特に上方)に気がつかない
看板やゲートなどの構造物(特に普段は気にすることの少ない上方の障害物)への注意がおろそかになりがちです。
あせり・急ぎからの確認不足
早く停めたい、早く出たい、という気のあせりなどから安全の確認が不十分なまま車を動かしてしまう。
思い込み・油断・慣れのために安全の確認がおろそかになりがち
マンネリ化や慣れのために十分安全確認をせず、思い込みで動いてしまう。
いつもと違う行動のために安全の確認がおろそかになりがち
いつもとは異なる不慣れな行動のために、ほかの事に注意をとられ、安全の確認がおろそかになる。
 

 また、前進よりもバックで進行するときのほうが事故は起こりやすくなります。これはバック時には死角が多く、安全確認が不十分になりやすい、ということが大きな原因と考えられます。

駐車場での事故防止のポイント
 駐車場内での事故を防止するポイントをあげてみました。是非習慣化していただきたいと思います。
<駐車場内では>
徐行(時速10キロ以下、バックの場合は更にゆっくりと人の歩く速度)で進行する。
駐車場所を探すことだけに注意を奪われず、絶えず他車や歩行者の動きに目を配る。
<駐車するときには>
駐車車両の間に自車を駐車させる場合は、側方間隔に十分注意する。
<発進するときには>
車に乗り込む際に車の周囲を一度回り、左右の車との間隔や障害物の有無、子供がいないかなど確認する。
左右の駐車車両だけでなく、走行車両や歩行者の有無の確認を必ず行う。
<バックをする場合>
まず車を止めて下車し、直接自分の目で側方間隔等を確認する。
ギヤをバックに入れてすぐには動かず、一呼吸おいて(警告音が数回なって)から動くようにする。
同乗者がいる場合は、駐車するときも発進するときも同乗者に誘導してもらう。ただし、誘導してもらう場合でも、誘導する人の声や手振りだけを頼りにバックするのではなく、窓を開け車外の音にも注意を払い自分の目で後方の状況を確認しながらバックするようにする。
次のような駐車は事故を招く原因となりますからやめましょう。
斜めに駐車する。
隣の駐車車両との側方間隔をつめる。

歩道を横切る前の一時停止

 歩道または路側帯を横断するときは、その手前で一時停止をして、歩行者や自転車が接近していないかどうかを、必ず確認しましょう。

駐車場への出入時の注意点
■右左折して駐車場に入るときの注意点
歩道を進行する自転車や歩行者がいないか
駐車場から出ようとしている車がいないか
また次の点にも注意しましょう。
<左折して入るとき>

左側方や後方から二輪車が接近していないか
<右折して入るとき>

対向車が接近していないか
駐車場の出入口付近に駐車車両があるときは、そのかげに歩道を進行する自転車や歩行者などが隠れてしまうことがあるので注意しましょう。(図3)
同様に、対向車が停止して道を譲ってくれた場合も、そのかげを二輪車が進行してくることがあるので注意が必要です。
■駐車場から出るときの注意点
歩道や路側帯の状況を確認する。(車道走行中の車にだけ注意が向きがちで、歩道や路側帯を進行する自転車や歩行者を見落とすことがある。)
走行車両が停止し、進路を譲られても一気に進行せず、譲ってくれた車の側方の状況を確認する。(よく確認しないままに進行していくと、その脇を走行してきた車両と衝突する危険がある。)(図4)

駐車場での事故の防止のポイントは、安全の確認をきちんと行うこと以外の何物でもありません。基本に立ち返り、普段の運転を見直してみましょう。