安全運転のポイント

4月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成17年4月


 昨年の交通事故による死者数は、7,358人と46年ぶりに交通事故による死者数が8,000人を切った(7,702人)平成15年をさらに下回りました。しかし、交通事故全体を見ると、死者数は減少しているものの、事故件数、負傷者数ともにこれまでで最も多く、過去最悪の事態となっています。今月は、昨年の交通死亡事故の状況をまとめてみました。(参考:警察庁交通局「平成16年中の交通死亡事故の特徴および道路交通法違反取締状況について」)

死者減少の要因
 交通事故による死者数は、ここ数年減少傾向にあります。警察庁はこの要因として@「シートベルト着用率の向上」A「事故直前の車両速度の低下」B「酒酔い運転・最高速度違反による事故の減少」などをあげています。なかでも、飲酒が絡んだ死亡事故が減少しています。
 図1は、死亡事故のうちで運転者が飲酒をしていた件数の推移を示したものですが、平成13年の道路交通法改正による飲酒運転の罰則強化を契機として、大きく減少を示しています。
高齢者の割合は引き続き増加
 年齢層別死者数は、前年に引き続き20歳代(前年比−123人:−11.7%)及び40歳代(前年比−74 人:−11.6%)の減少が顕著です。一方、30歳代は増加(前年比+38人:+5.6%)、また、65歳以上の高齢者の死者数は、前年からわずかな減少(前年比−63人:−2.6%)にとどまりました。(図2)
 死者を構成比で見てみると、全体に占める高齢者の割合は41.4%と4割を超え、他の年齢層と比べて非常に高い水準にあります。
 また、高齢者については、「自動2輪乗車中」を除いて、「自動車乗車中」、「原付乗車中」、「自転車乗用中」、そして「歩行中」の状態別で見ても、いずれも65歳以上の高齢者が最も多くなっています。
特に、歩行中は、高齢者の割合が66.3%と極めて高くなっています。
横断中や出会い頭衝突が多い
 事故類型別に死亡事故をみると、昨年に引き続き横断中(人対車両)が1,640件と最も多く、次いで出会い頭衝突(車両相互)の1,169件、工作物衝突(車両単独)1,008件で、これらが3大事故類型となっています。
 これらの3大事故類型への対策としては、次のようなことが必要です。
歩行中の事故は、高齢者の比率が高いと考えられますので、高齢者への注意
出会い頭衝突に対しては一時停止と安全確認
工作物衝突に対しては、安全速度での確実なハンドル操作
夜間は歩行者に注意
 死亡事故を昼夜別にみると、昼間は3,524件、夜間は3,834件で、夜間のほうが多くなっていますが、この差は年々縮まっています。しかし、状態別でみると、歩行中の死亡事故については夜間が昼間の2倍以上となっているのが特徴で、この傾向は例年変わっていません。(図4) 夜間は、歩行者を見落としたり、発見が遅れてしまうことが原因と考えられ特に注意が必要です。
漫然運転が最も多い
 車両(原付以上)運転者が第1当事者となった死亡事故を法令違反別にみると、図5のように漫然運転(930 件)がもっとも多く、次いで脇見運転(845件)、最高速度違反(711件)となっています。前年と比べると最高速度違反(前年比−172件)や、脇見運転(前年比−70件)が大幅に減少している一方で、前年に大幅に減少した漫然運転が増加(前年比+20件)しています。
 平成に入り、死亡事故で最多であった最高速度違反は、平成4年(2,555件)をピークに減少に転じ、平成15年以降は、脇見運転、漫然運転を下回るなど、10年間で約6割減と大幅な減少をみています。
 漫然運転※や脇見運転は不注意型とされる違反です。死亡事故も、最高速度違反のような危険敢行型の違反というより、傷害事故とおなじように不注意型の違反で多く起きていることに留意し、いっそうの安全運転への集中が望まれます。
「漫然運転」
漫然運転および脇見運転は安全運転義務違反の中の前方不注意に分類され、このうち漫然運転は、運転中に「運転以外のことを考えていた」、「ぼんやりしていた」などにより相手を発見できなかったり、発見が遅れて事故を発生させた場合をいいます。
春は新入学・入園の季節でもあります。不幸な事故にならないよう、
シートベルトを必ず着用する
スピードを押さえる
飲酒運転をしない
という大前提を守るとともに、以下の点にも注意しましょう
高齢歩行者や子供を見かけたときには、飛び出してくるかもしれ
ない、と予測し徐行する
夜間や早朝は歩行者を見落としやすいため、特にスピードを控え
めにする
交差点での出会い頭事故を防止するために
一時停止すべきところでは確実に停止して、安全確認をする
見通しの悪いところでは、一時停止をして安全を確認する
今一度、安全の確認という視点で、普段の運転を見直しましょう