■動体視力を使っている |
視力とはものを見分ける能力ですが、運転では殆ど動体視力で見ることになります。動体視力は、通常静止視力より低く、また動きが早ければ早いほど低下するものですから、基本的に見えている事象が確実に見えているわけではないことに留意しましょう。従って確実に見分けるためには運転中の速度のコントロールが極めて大事になります。 なお、視力は加齢によって低下しますが、動体視力は、静止視力よりもその低下の度合いが大きいので、高齢者はとくにこのことを意識しておく必要があります。(図2) | |
■こまめに動かし広い範囲を見る |
視野とは目を動かさずに見える範囲をいいます。両眼での視野は約200度で、そのうち色彩まで確認できるのはそれぞれ左右35度までと限られています(図3)。特に、動いている状態で、注視点の周辺の情報を発見できる範囲の有効視野はさらに狭いものです。広い範囲が見えているような気がしていても、実は本当に見えている範囲はそれほど広くはないのです。 従って、交通の場面の状況を正しく把握するためには、こまめに眼を動かして、(ミラーも活用しながら)前後左右の広い範囲を視野に入れていかなければなりません。 | |
■中心視で確認する |
視野に入る様々な情報の中で、これは、というものについてより詳しい情報を取ろうとすることが運転では必要です。 それには、目を向けて中心視(図4)で見ようとしないと確認はできません。周辺視ではぼんやりとしか見えていないのです。さらにはっきり確認するためには時間をかけて見ることも留意すべきです。したがって停止すべきところや確認が必要な場面では「止まって(目を向けて)見ること」がもっとも確実な方法であるということができます。 | |
■ひとつのものを見すぎない |
人は見るべき対象を2つ以上を同時に注視できません。同時に見ているように思えても、実際には短い時間で視線を移動させているためにそのように感じられるだけで、各瞬間には一つの対象しか見えていないのです。たとえば携帯電話のディスプレイをみているときは前方の信号は見えてるようで見えていないのです。したがって、1点だけの注視は危険の見落としや発見の遅れにつながりますので、ひとつのものを注視しても、留めることなく、目を回していく(注視先を移していく)必要があります。 | |