安全運転のポイント

11月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成16年11月


 子供は「動く赤信号」といわれます。実際、小学校高学年くらいまでの子供は常に動き回り、少しの間もじっといていません。しかも、周囲の状況を確認せずに衝動的に行動しがちで、それが交通の場面においては、急な飛び出しなどの危険な行動となってあらわれてきます。
 子供との事故は必ず人身事故につながります。したがって、ドライバーの皆さんは子供の特徴や実際の交通の場での危険な行動パターンをよく知っておくことが必要です。
 そこで今月は、交通場面における子供(ここでは、概ね小学生以下のことをいいます)の特徴や典型的な事故パターンと防止策についてまとめてみました。

交通場面における注意すべき子供の特徴
1.急に道路へ飛び出してくる
 (財)交通事故総合分析センターによる交通統計をみても、ほぼ毎年、12歳以下の子供が第一当事者になった歩行中の事故の約半数以上は「飛び出し」によるものです。無理な横断や駐車車両の間からの横断などドライバーから見ると飛び出しとみえるものも含めると、約80%近くを占めています。ドライバーとしては、まさに子供は「飛び出してくるもの」だと考える必要があります。
 特に、次のような場面では、子供が飛び出しに十分注意する必要があります。
道路の反対側に友達や親がいるとき
友達や親のほうへ行こうとして安全確認もしないで、いきなり飛び出してくることがあります。
親がいても手をつないでいないとき
側に親がついていると子供は飛び出してこないと考えがちですが、実はそうではありません。親と一緒にいると子供は安心感や依存心から、かえって周囲への注意力が欠け、ひとりでいるときよりも危険な行動をすることがあります。そのため親と一緒でも、手をつないでいないときには道路へ飛び出してくることがあります。
一人が飛び出してきたとき
子供は他の子供の真似をするものです。一人が走れば他の子供も走り、一人が飛び出して道路を横断すれば、他の子供も次々に飛び出してきます。
数人の子供がいるとき
登校時や下校時などに数人の子供が歩道や道路脇を歩いているときも要注意です。子供は数人でいると、ふざけ半分に車道に出てきたり、他の子供に押されて車道に出てくることがあります。また、友達同士で遊んでいるときは、遊びに夢中になって周囲の状況が目に入らず、車の有無も確認せずに車道に出てくることもあります。
駐車車両や看板などがあるとき
通学路や生活道路、公園付近などでは、特に危険です。
2.よく走り、急には止まれない
 子供は走るのが好きでよく走ることと、一方で急には止まれない、というのも子供の大きな特徴です。
そのため交差点の手前まで走ってきて、急に止まることができずそのまま交差点を渡ってくることがあります。
3.距離の判断力が未成熟
 子供は接近する車との距離の判断が大人に比べて遠くに判断しがち(ある研究では距離を「大人の1.6〜1.7倍以上に感じている」とのことです。)ですので、車の速度と距離を的確に判断できません。
そのため、車が接近していて大人であれば横断を諦める状況でも、子供は横断できると考えて横断してくることがあります。(先の研究では、時速50kmの車に対し、大人は接近距離が52mのところで横断を止めたが、子供は27mになるまで渡ろうとしたとのことです。)
実際の交通の場での事故パターンと事故防止のポイント
1.住宅街の走行時
 片側1車線の住宅街の道路を走行中、立ち止まって知り合いと話をしている母親の側にいた子供が、道路の反対側に友達を見つけて道路に飛び出してきたためにはねってしまったという事故パターンです(子供の特徴1関連)。
 親も側にいるし、まさか子供が急に道路に飛び出してくることはないだろうと考えて、減速もせずに走行したためにこうした事故が発生します。
 →前方に子供をみかけたときは、たとえ親と一緒にいるときでも、スピードを落とすとともに、その子供だけでなく道路の反対側の状況もよく確認します。そして、子供に接近するときは、いつでも停止できるよう徐行して進行します。
2.交差点の右左折時
 走っていた子供を追い越し、自車のほうが先に行けると判断して左折を始めたところ、止まりきれなかった子供が突っ込んできて衝突してしまったという事故パターンです(子供の特徴2関連)。
 子供が左折する車を見て、止まるだろうと考えたドライバーの判断ミスが招いた事故だといえます。
 →走っている子供を見かけたときは、急には止まれないかもしれないと考えて子供の動きによく注意するとともに、右左折時には徐行して進行し横断歩道の手前では必ず停止して、子供を先に横断させるようにします。
3.駐車車両のある道路の走行時
 公園のある道路を走行中に、駐車車両の陰から飛び出してきた子供の発見が遅れてはねてしまったという事故パターンです(子供の特徴1関連)。公園や学校など子供が多い場所では、どこに子供が潜んでいるかわかりません。
→ 駐車車両など死角を作るものがある場合には、その陰に子供がいるかもしれないと考えて、あらかじめスピードを十分落としておくとともに、駐車車両の周囲に子供の姿がないかどうかによく目を配りながら進行するようにします。
 
子供との死亡事故は、身近な人が加害者になりやすい!!
 (財)交通事故総合分析センターが、時速20キロ以下の低速域での子供との死亡事故を分析したデータによると(イタルダ・インフォーメーションNo.31・2001年発行)、低速域での子供との死亡事故は、両親や親族、両親の友人や、従業員、通学通園関係者などの「縁故者」がかかわっているケースが多いという結果が出ています。その大半は「発進時」と「後退時」に起こっているものです。マイカーで出勤するときや、休日等に車で出かけるとき、あるいは家に帰って車庫やガレージ等に車を入れるとき、親族や友人、知人の家に車で出かけて発進や後退をするときなどには、必ず事前に車の周囲を回って子供がいないかどうかを確認するようにしてください。万一事故が起これば、取り返しのつかない悲劇を招いてしまいます。