安全運転のポイント

6月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成16年6月


 警察庁のまとめによれば、昨年の交通事故による負傷者を事故時の状態別でみると、「自転車乗用中(全体の15.5%)」が「自動車乗車中(全体の62.5%)」についで第2位でした。10年前と比較しても、自転車乗用中の負傷者数は平成5年の1.43倍と,自動車乗車中と同様(同じく1.46倍)に増加しています。
 自転車の事故が増加している理由の一つには、ドライバーと自転車利用者の双方に自転車特有の危険性についての認識が不足していることがあげられます。
 ドライバーの皆さんは、自転車に対してヒヤリとしたりハッとした経験があることでしょう。また、逆に自転車に乗ったときには、自動車に対してヒヤリとしたりハッとしたことがあるのではないでしょうか。
 自転車との事故の防止には、ドライバーが自転車の持つ危険性を改めて認識し、まさしく防衛運転(自分の運転が原因の事故を起こさない、他の運転者・歩行者が原因の事故に巻き込まれない。)に徹することが必要です。
 そこで、今月は、自転車の危険性と、併せて、事故のパターンをまとめました。また、みなさんが自転車に乗る際に注意すべき点についても最後に掲載していますので参考にして下さい。

道路交通における自転車特有の危険性
1 . ふらつきやすく転倒しやすい
 自転車は発進時にふらついたり、少しの段差や路面の凹凸でもバランスを崩し、転倒することがあります。また、すぐ側を自動車が通るとその風圧でよろめいたり、吸い込まれそうになることさえあります。
自転車を追い越すなどすぐ側を通るときは、側方間隔を十分にとっておくことが必要です。
2 . 視界が狭く、周囲の状況がよく見えていないことがある
 自転車に乗ると姿勢が前へ傾くことから、視線が路面に向きがちになります。このため視界が狭く、後方や左右の状況がつかみにくくなり、後ろからやってくる車両に気付かないまま、進路を変更してくることがあります。
自転車を見かけた場合は、進路変更してくる可能性を常に意識し、動静をよく注視することが必要です。
3 . 車体が小さく、車からは見落とされやすい
 車体が小さい自転車は、ドライバーからは発見しにくく、見落とされやすい存在です。また、自転車に気づいても、小さく見えるため、「自転車はまだ遠くにいる」と思いこみがちです。一方で、自転車は、「車は自分に気づいて道を譲ってくれる」ものと考えがちです。
ドライバーは、自転車は「小さく見えても予想以上に近くにいる」ことを予測し、しっかり確認する意識が必要です。
4 . 歩行者と同じと考えて自転車に乗っている人が多い
 自転車は車両であるとの意識が薄く、あるいはそうとは知らずに乗っている人が多いようです。そのために歩行者と同じように行動してしまい、一時停止無視、安全確認不十分、右側通行等の法令違反が多く見られます。また、機敏に操作できることから信号無視などもあります。
ドライバーは自転車が交通ルールをきちんと守るとは限らないと予測し、徐行・停止などで十分に安全を確認することが必要です。
 
自転車との事故が多く見られるパターン
1 . 見通しの悪い交差点で、一時停止を無視して交差点に進入した自転車と衝突
 見通しの悪い交差点を通行中、一時停止の標識を自転車が無視して進入してきたために出会い頭に衝突する事故パターンです。自転車利用者のなかには歩行者と同じ感覚で「一時停止の必要はない」と思っていたり、「いつも車は来ないから」などと一時停止を無視する人がいます。一方、ドライバーは、「相手(自転車)も一時停止するもの」と思っていることから事故が起きます。(危険性4関連)
2 . 左折の際に左からの自転車と衝突
 車が幹線道路へ左折進入しようとしたときに、自転車が左から歩道を進行してきて衝突する事故パターンです。自転車運転者は歩道走行中は安全との意識が強くその延長からか、「車が自分を見つけて停止し進路を譲ってくれる」と思っています。一方、ドライバー側からは(右ハンドルの場合は)左側が見にくく、さらに、右からの車両に気を取られていることから自転車に気づくのが遅れ事故になってしまうものです。(危険性3,4関連)
3 . 道路横断のため自転車が急に進路を変更してきて衝突
 前方にいる自転車を追い越そうとしたとき、自転車が後方の安全を確認せずに急に進路を変更して自車の前に出てきて、衝突してしまうものです。自転車運転者は、後方から車が来ていても「自分に進路を譲ってくれる」と思っています。一方、ドライバーは「自転車はそのまま直進する」と思って追い抜こうとするため事故が起きます。(危険性2関連)。


 
自転車に乗るときには
自転車と歩行者の事故が、平成12年以降激増しています(グラフ1 )。
また、事故を起こした自転車の約6割が「安全不確認」「一時不停止」「信号無視」といった交通ルールの無視をしています(グラフ2 )。
自転車に乗るときには、
歩行者から見れば、自転車も危険な存在です。歩行者に配慮したやさしい運転を心がけましょう。
歩道は歩行者のものです。歩行者の通行を優先し通行の妨げになるときは一時停止を。
また、
車両として交通法令を遵守し、一時不停止や信号無視などは厳禁です。
進路変更するときは、必ず後方の安全の確認を。
渋滞や停止車両の間の横断はやめましょう。
車や歩行者から分かりやすいように薄暮時や夜間はライトを点灯しまし
ょう。