安全運転のポイント

11月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成15年11月


 普通免許取得後1 年未満の運転者を初心運転者といいます。初心運転者の事故発生率は全運転者に比べて約1.7 倍です(平成14 年運転者10 万人当たり事故件数の比較)。初心運転者の事故が多いため、平成2 年の道路交通法改正で、「初心運転者期間制度」を設け、初心運転者が慎重な運転をするよう動機づけを図っています。
今回は、初心運転者について、どのような特徴があるかご紹介しますので初心運転者ご自身の参考に、またご家庭、職場での日常指導の参考にしてください。
(文中の事故データは、(財)交通事故総合分析センターの編集による「平成14 年版 ビジュアルデータ」より引用しています)

夜間事故が1.4 倍
 昼夜別にみると、図1のとおり、初心運転者では夜間事故の割合が高いことが特徴です。初心運転者の夜間事故発生率は全運転者の約1.4倍になっています。
図1 初心運転者の昼夜別・当事者別交通事故件数(構成率)
 
カーブ事故が目立つ
 道路形状別では、図2のとおり、初心運転者は交差点内(信号なし)での事故発生率が低い一方、カーブの事故発生率が大きい(全運転者の約1.6倍)という特徴があります。
図2 初心運転者の道路形状別全事故件数(構成率)

 
正面衝突、工作物衝突の事故が多い
 類型別では、図3のとおり、初心運転者は全運転者に比べ、特に工作物衝突事故(約1.9倍)、正面衝突(約1.5倍)、追突(約1.1倍)の比率が高くなっています。逆に、出会い頭事故は全運転者に比して低くなっています。
図3 初心運転者の事故類型別全事故件数(構成率)
 
最高速度違反、脇見運転などによる事故が多い
 法令違反別にみると、図4のとおり、初心運転者の信号無視による事故の発生率が全運転者の約1.3倍、以下、最高速度違反約1.9倍、脇見運転約1.2倍、運転操作不適約1.5 倍になっています。重大事故につながる信号無視、最高速度違反が多いこと、運転操作未熟の違反が多いことが特徴です。
図4 初心運転者の法令違反別全事故件数(構成率)
 
危険認知速度が高め
 危険認知速度が高め危険認知速度とは、危険を感じた時の速度のことで、「事故直前速度」とも呼ばれます。危険認知速度別に見ると、図5のとおり、初心運転者は時速20km以下の低速ゾーンでの事故は少なく、41km以上ゾーンでは高くなっています。初心運転者の事故時の速度が、全般に全運転者に比べて高めであることを示しています。
図5 初心運転者の危険認知速度別全事故件数(構成率)
 
初心運転者の運転の特徴と注意点は
初心運転者の特徴として一般的に以下のことが挙げられます。
運転中目から入ってくる情報の量が多く、短時間で何を見るべきかの取捨選択に慣れていない。(認知面)
情報をもとにした状況判断が運転経験が浅いことから不適切になりやすい。(判断面)
運転技能を過信した自己中心的な行動や、速度のメリハリがない操作をする。(操作面)
危険発見意識が未熟(運転態度面)
 
前記事故データの特徴をふまえた注意点を考えてみましょう。
1. 夜間は昼間より交通量が減少するためスピードを出しやすくなります。このため昼間より視認性が低下しているにもかかわらず、初心運転者は、よりスピードを早めて運転している可能性があります。夜間は確実に昼間より速度を落として運転する習慣づけが必要です。
2. カーブの事故が多いのは遠心力など車にかかる力の軽視あるいは運転技術の過信が理由として考えられます。カーブ手前の直線部分で十分に減速すること、ハンドルはゆるやかに操作することなどの基本操作を実行しましょう。
3. 正面衝突、工作物の事故が多いのは、速度超過による運転操作ミス(対向車線はみ出し、路外逸脱など)が原因として考えられます。危険認知速度が高いことや最高速度違反が多いことがそれを物語っています。道路、交通の状況、天候や視界などに応じた速度調整、いわゆる安全速度での運転を習慣としましょう。
4. 出会い頭事故が少ないのは、交差点等においては、全運転者に比べ初心運転者の方がより危険を感じ、一時停止や徐行が比較的よく行われたことによるものと考えられます。逆に経験を積むことでこれらは省略されがちです。初心を忘れず継続しましょう。
5. 信号無視、最高速度などの法令違反が多いことは、自己中心的な行動をする運転者がいることを示しています。法令遵守は基本中の基本です。違反を繰り返すと、必ず事故につながります。
当たり前のことですが、免許取得時に習った「安全運転の基本」を確実に道路上で実行することと、習慣づけが初心運転者に強く望まれます。
 
初心運転者期間制度とは
普通免許、大型二輪免許、普通二輪免許または原付免許について、免許の種類ごとに取得後1 年間(停止中の期間を除く。)を初心運転者期間とし、その間に違反などを犯し一定の基準(合計点数3 点以上。ただし、3 点の違反1 回で3 点に達した場合は除く。)に該当した人には「初心運転者講習」が行われます。
上記の基準に該当する運転者が、「初心運転者講習」を受講しない場合や、講習を受けてもその後初心運転者期間が終了するまでの間に違反などを犯し一定の基準(合計点数3 点以上。ただし、3 点の違反1 回で3 点に達した場合は除く。)に該当した場合は、再試験が行われます。
再試験に合格しなかった人、正当な理由なく再試験を受けなかった人の免許は取り消されます。
上記の取消処分については欠格期間(免許を取り消されてから新たに免許を受けることができるまでの期間)がありません。

(出典:警察庁交通局監修「交通の教則」)