安全運転のポイント

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 「エコドライブ」という言葉を耳にしたり、すでに実施中のドライバーの皆さんも多いことでしょう。エコドライブとは、地球温暖化や大気汚染の原因となる自動車の排気ガス(二酸化炭素や窒素酸化物など)の量を極力少なく抑えようとするもので、地球環境に配慮しつつ、ひいては安全運転にもつながる運転法です。
 ところでエコドライブの基本は穏やかな運転に徹することにあります。急発進や急加速などを押さえた日常の穏やかな運転は、ドライバーの血圧、脈拍の安定をもたらし、また疲労の蓄積も押さえられるので、ドライバーの健康の面からも重要です。エコドライブは「環境への配慮」「燃費の向上」「交通安全」「ドライバーの健康」に直結するいわば一石四鳥の運転方法といえます。今回はドライバーの皆さん一人ひとりにできるエコドライブについてまとめてみました。

「経済速度」で等速走行
 自動車の速度と燃料消費量には密接な関係があり、速度が低過ぎても高過ぎても燃料消費量は多くなります。経済速度とは、交通の円滑な流れを乱すことなく、できるだけ低いエンジン回転数で効率よく走行できるスピードをいいます。一般に「一般道路では時速40キロ、高速道路では時速80キロ」が目安とされています(AT乗用車、2,000cc以下同じ)。高速道路1,000kmの距離を時速80kmで走行すると時速100kmの時に比べて約11リットルのガソリンが節約できます。(出典 省エネルギーセンター「Let’sスマートドライブ」)
 車間距離が十分でなかったり、またスピードの出し過ぎは、減速の機会が増え、等速走行にならないので、燃費には不利になります。時間に余裕を持ち、車の流れにのってできるだけ一定の速度で走る、これが安全運転にもつながります。
「急」のつく運転をしない
 急発進、急加速、急ブレーキなど「急」のつく運転は、必要以上にエンジンの高回転域を使うことになり、著しく燃費を悪化させます。乗用車が急発進を10回繰り返すとガソリン170ccが無駄になり、急加速を10回繰り返すと110ccが浪費されます。発進はなめらかに、走行中はゆっくり加速します。停止するときは、早めにアクセルから足を離し、エンジンブレーキを使いながらゆっくり減速します。この運転のためには十分に車間距離をとり、危険予測を的確に行うようにします。
タイヤの空気圧を適正に
 空気圧が低いタイヤで走行すると転がり抵抗が増して燃費が悪くなります。適正値より0.5kg/cu少ないタイヤで50km走行すると乗用車では約150cc燃料が無駄に消費されます。また空気圧の低いタイヤは接地面積が増えるために雨天時の「ハイドロプレーニング現象」(水の膜がタイヤと路面の間に入り込み、タイヤが浮いてしまう現象)や「スタンディングウェーブ現象」(高速運転でタイヤが波打って破裂する現象)が起こりやすくなります。空気圧の適正値は運転席ドア内側や取扱説明書に記載されています。マメにタイヤの空気圧をチェックする習慣をつけましょう。
違法駐車をしない
 違法駐車をしないことも、エコドライブの一環です。違法駐車は、路上に死角を作り出すなど大変危険なばかりでなく、交通渋滞発生の原因にもなります。平均車速が時速40kmから時速20kmに落ちた場合、燃費は約40〜50%も悪化するといわれています。
無用なアイドリングをやめる
 コンビニでの買い物の間や駅でご家族を待っている時など、エンジンをかけたままにしていることはありませんか? エンジンをかけたまま(アイドリング状態)にしていると、乗用車の場合、10分間で130cc程度の燃料が消費されます。わずかな時間でもアイドリング・ストップを心がけましょう。

不要な荷物をのせたままにしない
 車のトランクを物置がわりにしていませんか? 車のエンジンは荷物の重さに敏感です。ふだんは使わないゴルフバッグ、キャンプ用品や洗車道具などはおろすだけで燃費がよくなります。JAFMATE誌が実施したテストによると、1名乗車のときと比べて4名乗車+荷物60kgでは、乗用車が100km走行するあたり約1リットルの燃料を余計に消費しました。また、10kgの荷物を乗せ50km走行すると乗用車で燃料が15cc無駄になるというデータもあります。また無駄な荷物をおろせばそれだけブレーキの効きもよくなります。
無駄な空ぶかしをしない
 信号待ちからの発進時などに空ぶかしをすると、燃費が大きく悪化します。たとえば、乗用車では10回の空ぶかしで60ccの燃料が無駄になります。また、冬に暖機運転をする場合に空ぶかしする人もいるようですが、水温計の針が動き出せば暖気運転は十分です。できれば暖気運転は、止まったままで行うよりは、ゆっくり走りながら行う方が各部のギアにオイルがいきわたるので車のために良いようです。
シフトアップを早めに
 マニュアル車の場合、低速ギアのままで速度を上げると、エンジンの回転数がどんどん高くなり、その分、燃費が悪化します。低速ギアで引っ張るような運転でなく、早めにシフトアップすることを心がけましょう。AT車の場合は、ゆっくりとアクセルを踏むようにします。AT車で加速時にアクセルをいっぱいに踏みこむと、「キックダウン」が生じ、低速ギアにシフトダウンしてしまいます。
エアコンの使用は控えめに
 エアコンを使用するとエンジンの回転数が高くなり、その結果燃料の使用量が増加します。JAFMATE誌のテストによると、エアコンをオンにした状態では、オフの場合に比べて燃料を1時間で約700cc無駄に消費しました。エアコンの過度な使用は慎み、こまめに温度調節をしましょう。
計画的ドライブ
 道に迷ったり、渋滞に巻き込まれたりすると無駄な燃料を消費します。出かける前には地図、カーナビで道路を十分調べ、渋滞を避けスムーズな運転ができるようにしっかり計画をたてましょう。

(本文中、燃費等のデータは特に記載のない場合は自動車工業会資料から引用しています)