安全運転のポイント

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 「防衛運転」は、他の運転者や歩行者がかりに不適切な行動をとろうが、その他の悪条件があろうが、事故の発生を防止できる運転法をいいます。車両相互の事故で、自分の責任で事故が起こったのではない、という場合に、その事故を「もらい事故」あるいは「被害事故」と呼ぶケースがありますが、この種の事故も「防衛運転」の考え方から見れば、ほとんどは防止できる事故ということができます。もらい事故とされている具体的な事例に基づいて、防止のための運転法について考えてみましょう。

 

「防衛運転のポイント」
 事故には「防止可能な事故」と「防止不可能な事故」の2種類があり、「防衛運転」により、ほとんどの事故が防止可能としています。(全米安全協議会(NSC)「企業の交通安全)
 「防衛運転」は、ただ単に事故に遭わないための運転という消極的なイメージのものでなく、他人の誤った行動・運転までも、予測、カバーし、事故につながらないようにする積極的な運転法だということができます。
 
  必要となる具体的なポイントは以下のとおりです。
 
1. 他の運転者、歩行者の不適切な行動による事故を回避するために、視野を広くとり、早めに危険を見つけだし、予測すること。
2. 霧、雪、道路の凍結、急カーブなど悪条件下の運転では、事故回避のための知識を持ち、環境条件に応じた運転を行うこと。
3. 事故の大部分は速度オーバーの走行など「やってはならないことをした」、交差点での安全不確認など「なすべきことを怠った」など「基本からの逸脱」によって起こっていることから、基本とされている運転行動を確実に行うこと。
次に具体的事例に基づいて、防衛運転の例をいくつか見てみましょう。

 

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事故1 乗用車で高速道路を走行中、渋滞の最後尾について停車したところ、後続車に追突された。
 高速道路走行では、前方の車が止まっているか、停止しているかの判断がつきにくく、停止していることに気づいてブレーキをかけても間に合わず、追突事故が起こることがあります。この事例では、走行中に前方の渋滞を発見した際、追突されるかもしれないと予測し、すぐ最後尾につくのではなく、前車との車間距離を十分取りながら早めに速度を落とし、ハザードランプをつけて進行し、後ろに2〜3台続いていることを確認しながら前車に続いて停車するようにすれば、事故を避けることができたと思われます。ポイントは、渋滞の最後尾についている状態を極力避けることにあります。

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事故2 片側2車線の左側車線を走行中、右側車線の前方で右折のため車が停止したところ、右側車線の後続車が強引に自車の車線に割り込んできて衝突した。
 他車が急な進路変更をする理由はさまざまありますが、このケースのように前方で右折のため停止した車を避けようとして、急に自車線に進路変更してくることがあります。この事例での防衛運転としては、右側車線前方の右折待ちの車を早目に確認し、同車線の後続車の急な進路変更を予測し、速度を落とすか左側に寄るようにします。
 特に片側2車線の道路では、自車の前方だけでなく隣りの車線の前方の状況にも注意し、駐車車両、右折待ち車両などがある場合は、「隣り車線の車が前方の車を避けようとして急に車線変更してくるかもしれない」と危険予測し、適切なポジション・距離をとることが大切です。

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事例3 雨天時、高速道路のサービスエリアの駐車場で他車がバックして出てきたので、クラクションを鳴らして警告しながら進行したところ、相手がそのままバックしてきて衝突した。
 バックして出てきた車に対し、クラクションを鳴らして自車の存在を知らせる方法はよくみられます。多くの場合、それによって相手が自車の存在を知り、バックを中止しますが、なかには気づかずにバックしてくるケースもあります。特に雨天時は視界が悪いこともあって、自車の接近に気づかない可能性も十分あります。
 このケースでは、自車の前方にバックして出てきた他車に対しては、クラクションを鳴らして警告するのではなく、一時停止して相手に進路を譲ることによって事故を防止できたと考えられます。

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