運転時間全体に比べると、車のバックに要する時間は微々たるものですが、事故発生の観点からは、バック事故は発生頻度の高い事故類型の
ひとつになっています。車は構造上後方の死角が大きく、安全確認を十分行わずにバックすると、思わぬ衝突事故を起こす危険があります。ベテランドライ
バーでも意外に多いのがバック事故です。今月はバック事故の防止についてまとめてみました。
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バック事故が多い場所 |
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バック事故は、駐車場や会社の構内、自宅のガレージやビルの駐車場などで多く発生しています。これらの場所では、公道を走行し
ているときと異なり、ドライバーがホッとしてしまい、気を抜いて走行しがちです。バック事故の主な原因としては「後方の安全を十分確認しないま
まバックした」、「いつも後方に何もなかったので、今回も何もないと思いバックした」などの慣れや油断といった「うっかりミス」が考えられます。
駐車場、会社構内などは決して安心できる場所ではなく、人や車がさまざまな動きをする危険な場所と認識しましょう。 |
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後方の死角 |
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車は構造上前に進むようにつくられていますので、後方の死角が大きくなります。車体の大きいワゴン車などの場合、死角がとくに
大きく、小さな軽自動車などは、死角部分に入ってしまい、運転席からは確認できないことがあります。(イラスト参照)。バックの際は、ミラーだ
けに頼らず、目視による入念な安全確認が必要です。少しでも不安を感じたら、誘導してもらうか、降車して、死角部分に歩行者や車などがいないか、
よく確認することが大切です。 |
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駐車の方法・誘導の依頼 |
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駐車するときには、駐車場から出る場合のことを考え、どこへ、どのように車を止めたら安全に出ることができるかを考えるように
します。たとえば、人通りや交通量の多いところへ、バックしながら出ていくのは大変危険ですので、このような場合は、駐車するときにバックで入
れ、前進でていくようにします。また、2台以上で来ていたり、同乗者がいるような場合は誘導を頼み、安全な状態でバックできるようにします。 |
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バックするときの運転姿勢 |
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不安定な姿勢で後ろを向いて運転操作をすると、車の揺れで視線がぶれやすくなります。右手はハンドルに、左手はバックレストに置
いて体を支えます。できるだけ体を上に伸ばし、なるべく高い位置からリアウインドウ越しに後方全体を視野に入れるとともに死角を少なくすることが
大切なポイントです。また、狭い場所では、窓を開けて首を外に出して後方を確認することもあわせて行います。
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その他の重要な安全確認手順・操作方法 |
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バックの運転では、慎重な安全確認と運転操作が必要です。そこで、以下のような点も確実に実行し、習慣づけます。 |
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人の歩くスピードでバックする |
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バック走行では、確認する場所が多く、ブレーキを踏む回数も多くなります。危険を感じたら、すぐに停止できるようにゆっくりと
進みます。 |
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右か左にハンドルを切り後方を確認 |
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後方の確認をして乗車した後もすぐにはバックせず、いったんハンドルを右か左にいっぱいに切って少し前進し、サイドミラーで後
方の状態を再度確認するのも有効です。 |
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バックする前には必ず一旦停止 |
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バックする前には、必ず一旦停止して周囲の安全確認をします。停止することにより、周囲の安全確認に余裕が出来ます。 |
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障害物を確認する |
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駐車場内では、電柱、案内板、看板、プランター、鉢、溝など障害物の有無、位置をよく確認します。 |
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視界を確保する |
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リアウインドーの前に物を置くと視野が妨げられますので、物を置かないようにします。また、窓ガラスに汚れや曇りがないかもチ
ェックします。 |
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窓を開けて音を聞く |
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窓を開け、周囲の音を聞きます。二輪車の音や子どもの声などが聞こえた場合、無理なバックをするのは危険です。 | |
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