安全運転のポイント

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 皆さんは、交通事故(人身事故)の類型では、どんな事故が多いかご存知ですか?「交通統計」によると、平成8年以降6年連続で「追突」がもっとも多く発生し、発生件数も年々増加しています。とくに昨年は全事故の約3件に1件(30.4%)が追突事故でした。
そこで、今月は追突事故の特徴、原因、対策について、まとめてみました。
交通統計でみる追突事故
   平成13年版の「交通統計」によると、追突事故は288,193件発生し、全事故(947,169件)の30.4%を占めています。追突事故の内訳では、「進行中の車に追突」が38,092件(4.0%)だったのに対し、「駐・停車中の車に追突」は250,101件(26.4%)と約6.6倍多く発生しています。
 昼夜別、道路形状別では、「夜(91,515件)よりも昼(196,678件)に多い」「交差点(113,173件)よりも単路(173,557件)で多い」「カーブ(8,646件)よりも直線(278,140件)で多い」などの特徴があります。昼間、単路の直線部分で追突事故が多発しています。
追突事故は、どのようにして起きるのか?その原因は?
   追突事故は実際、どのような場合に起きているのでしょうか?月刊「自動車管理」2002年2月号では、事故パターンでみる追突事故についてまとめていますが、それによると、「ショーウィンドに気をとられて脇見になり交差点で停止中の前車に追突」、「踏切の先の青信号に注意を奪われたために、踏切の手前で一時停止した前車に追突」、「トンネル内で前車の停止に気づくのが遅れ追突」などが追突事故のパターンとして紹介されています。
追突事故の原因として「車間距離の不足」がすぐに考えられますが、交通事故総合分析センターによると原因として、「脇見運転」が40%強と最も多く、次いで「動静不注視」、「漫然運転」と続き、「車間距離不保持」は3%と小さくなっています。
 なお脇見、漫然運転は交通統計上「前方不注意」に分類され、そのうち「外在的前方不注意」がいわゆる“脇見運転”で、「内在的前方不注意」が“漫然運転”となります。
 
原因1 「脇見」について
   なぜ私たちは運転中に脇見運転(外在的前方不注意)をするのでしょうか?私たちは危険だと思えば注意するし、行動も慎重になります。運転も同じで、危険だと思えば脇見などはしないで慎重に運転します。その逆に、危険ではないと思えば油断が生まれ、脇見などをしがちになります。例えば「前車が急停止するかもしれない」と思えば前車の動きによく注意しますが、「前車が急停止することはない」と思えば、脇見につながりやすいでしょう。このように、脇見の背後には隠れた要因として運転者の「ここは安全だ、危険はないとの思い込み」があると考えられます。
原因2 漫然運転について
   では、漫然運転(内在的前方不注意)についてはどうでしょうか?これは心理的・生理的な要因によって前方への注意が散漫になり危険の発見ができなかったり遅れたりしてしまうことを指します。居眠り、ぼんやり、考え事などでの運転がそうです。これは道路交通状況が引き起こすと考えられます。例えば、道路が単調な場合です。変化に乏しい道路で、ほぼ一定した速度で前車の後方を追従して運転しているようなときには、前方が安全であるとの思い込みが生じ、運転に対する集中力や緊張感が薄れて、運転とは別なことを考えやすくなり、その結果、前方に対する注意が欠けてしまうのです。このように、漫然運転の背後にも「安全であるとの思い込み」があると言えます。
原因3 動静不注視について
   動静不注視とは、相手の存在を発見していたが、危険はないと判断し、その動静の注視を怠ったことを言います。追突事故では、危険でないと思い他の車や人の動静に目を向け前車への注意を怠った場合を指します。例えば、車線変更をしようとして後方の車に気を取られ、(止まらないはずの)前車が止まっているのに気づかなかった、1台前の大型車を見ていて、動いたので、それに引きずられて進行してしまい、(進行するはずの)前車が停車のままであったため追突したケースです。
 この動静不注視にも「こんな運転はしないだろうと自分勝手な思い込み」が隠れた原因としてあると言えます。
追突しないためには
   いままでのことから、追突事故を防ぐためには、どのようなことが必要なのか考えてみましょう。根本原因である「思い込み」を防止するためには、いわゆる「危険予測」の考えをしっかり持つこと、例えば、直線道路を低速度で前車に続いて走行しているような場合であっても油断せず「前車が停止するかもしれない」「前車は右左折する車のために減速するかもしれない」と常に予測する運転態度が最も大事です。また脇見、漫然運転の危険性を知り、それをしない、見なければならないときは停止する、安全な車間距離をとる、などの心構えが追突事故防止には欠かせません。(以下次号)