安全運転のポイント

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 6月に入り、梅雨時期となりました。ドライバーの皆さんにとっては、雨の中を走行する機会が多くなり、いつもよりも慎重な運転が必要な時期でもあります。では、実際、雨の日は、どんな事故が多く、どうすれば事故を防ぐことができるのでしょうか?そこで、今回は、(財)交通事故総合分析センターが行った「交通事故例調査・分析報告書」などをもとに雨の日の事故防止について考えてみましょう。
雨の日の2大事故原因
   分析結果から、雨天時の事故のなかでも、とくに雨や路面の湿潤が関係して発生した事故についてみると、表のように「スリップによる事故」「見えないことによる事故」の2つに大別されます。雨の日に事故を起こさないためには、「スリップしない運転」「見えないことをカバーする運転」を心がける必要があります。
速度オーバーはスリップの原因に
   スリップ事故の要因を分析した結果、もっとも多いのは、「速度オーバー」で、スリップ事故の75%に関与していました。とくに、カーブでスリップ事故を起こす人が多いことから、速度を出しすぎてカーブに進入する、カーブの手前で急に減速する、カーブの終わりで急に加速する、などの運転をしないようにしましょう。また、直線単路であっても、水溜りのあるところで速度を出し過ぎていると思わぬスリップ事故を起こすこともありますので、十分注意が必要です。雨の日は、いつもより最低2割は減速して走行します。
   
  表 雨天時における2大事故パターン
パターン 主な事故内容
スリップによる事故(75%に速度オーバーが関与) カーブでの事故
速度超過で進入した
カーブの手前で急減速した
カーブの終わりで急加速した
直線部の事故
高速度で走行していた
水溜まりを走行したため
信号が黄となり急加速した
追越しによる事故
車線変更するとともに急加速した
追い抜くため高速走行に
高速のまま車線変更した
回避挙動による事故
前方の犬を避けるため急回避した
前方車両と急接近したので急ブレーキを踏んだ
見えないことによる事故 夜間の横断歩道上の事故
交差点で右折しようとしたところ横断歩道上の歩行者を見落とした
駅前広場で右折時歩行者を見落とした
夜間の乱横断に関する事故
照明がなく、暗い状況で、乱横断の歩行者が現れた
相手車両の不認知に関する事故
交差点で右折する際、対向直進車より先に右折してし衝突
窓ガラスのくもりによる事故
フロントガラスが真っ白で前方の人と衝突
(交通事故総合分析センター「交通事故例調査・分析報告書」による) 
追い越し・車線変更を避ける
   追い越しや車線変更は、急加速をすることが多く、とくに雨天時の運転ではスリップの原因にもなります。雨の日は急加速となる追越しや車線変更をしないようにし、車間距離は晴天時より多めにとって走行します。
夜間の歩行者の見落としに注意
   雨の日には、人対車両事故の歩行者横断中の事故が多く、昼間よりも夜間に多発する傾向があります。例えば、死亡事故で見てみると、降水時の死亡事故でもっとも多いのは深夜1時〜2時台、次いで17時〜24時台となっています(グラフ参照してください)。ドライバーの皆さんはとくに夕方から深夜にかけての歩行者の見落としに注意が必要です。
 また、雨の夜間に発生した事故の分析結果によると、図のように右折時の横断歩道の暗がりにいた歩行者の存在に気づくのが遅れ、事故となるケースが目立っています。雨の日の夜間は、スピードを落とし、ときどきライトを上下に切り替えるなどして歩行者の見落としを防止しましょう。
雨の日は積極的にライトを点灯
   雨の日にライトを点灯して走行すると、他車や歩行者などから発見されやすい、前車がバックミラーで自車を容易に確認できるなどのメリットがあります。雨の日は、ライトを積極的に点灯して、自車を目立たせましょう。
タイヤの点検、窓ガラスの清掃を
   分析結果では、スリップ事故を起こした車のうち、タイヤの残り溝不足が関与しているケースが非常に多くありました。タイヤの残り溝は、1.6ミリ未満になれば交換ですが、なるべく早めに交換をしましょう。
 また、フロントガラスが白く曇り、前方の横断歩行者を発見できず衝突した事故もありました。フロントガラスが汚れていると曇りが生じやすくなるため、きれいな乾いた布であらかじめ拭いておきましょう。なお、窓ガラスが曇ってきたときは、エアコンなどを作動させ、曇りを消しましょう。
   
 
交通事故総合分析センター「交通事故例調査・分析報告書」より
   
グラフ 時間帯別該当時間当たり死亡事故件数

交通事故総合分析センター「イタルダ・インフォメーション」NO.34