安全運転のポイント

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 交通事故統計で「30日以内死者数」というのをご存知ですか。これは交通事故によって、発生から30日以内に亡くなった人の数です。欧米では交通事故による死者数をこれで把握するのが主流であり、我が国でも平成5年からこのデータが公表されているものです。このたび公表された「平成12年中の30日以内交通事故死者の状況について」から、その内容をまとめてみました。今月は、秋の全国交通安全運動の実施月です。事故防止活動の参考として下さい。
30日以内死者数では1万人を超えている
   30日以内死者数は「24時間死者」(事故発生から24時間以内に亡くなった人−警察庁が発表する死者数はこれを対象としている)と「30日死者」(事故発生から24時間経過後、30日以内に亡くなった人)の合計です。
 グラフ1のとおり、24時間死者は平成8年に1万人を切りましたが、30日以内死者数でみると依然として1万人を超えています。また平成12年で増加に転じており、一層の死亡事故防止対策が図られなくてはならない状況にあります。
 そこで30日以内死者のうち「30日死者」(1337人)について、どのような特徴があるか見てみましょう。
 

約半数は事故発生から6日以内に亡くなっている
   平成12年中の30日死者を交通事故発生から死亡までの経過日数別(発生日を初日として計算)で見たものが、グラフ2です。交通事故発生後3日目に死亡する人が突出して多く、そして事故発生から6日以内に約半数(661人、49.4%)が死亡と、30日のうちでもかなり早期に亡くなっています。


自転車乗車中の比率が高い
昼間の比率が高い
   30日死者を状態別に見ると、歩行中の死者が415人ともっとも多く、全体の約3割を占めています(グラフ3)。しかし、24時間死者との比較では、自転車乗車中の比率が、24時間死者では10.9%の割合なのに対し、30日死者では21.6%と高くなっており、自転車乗車中の事故の多さが目立ちます。
 また、事故発生時の昼夜別で見ると、夜間の死者538人に対し、昼間の死者は799人と昼間の死者が夜間の死者を大きく上回り、夜間が多い24時間死者と異なっています。さらに昼間の死者は前年よりも13人の増加、夜間の死者は前年よりも42人減少し、昼と夜の死者数の差が大きく開いてきています。
 

車両相互事故が多いが、車両単独で工作物衝突事故が増えている
   30日死者を事故類型別に見ると、「車両相互事故」による死者が698人ともっとも多く、52.5%と半数以上を占めています(グラフ4)。また、車両相互事故の割合は、24時間死者の割合(47.5%)より高くなっています。特徴的なのは、「車両単独事故」が前年よりも増加し、とくに防護柵や電柱などの工作物に衝突して死亡した人が152人(+38人、+33.3%)と目立って増加していることです。
 

頭部損傷の割合が高い
   損傷主部位別の死者の割合を見ると、30日死者、24時間死者とも頭部損傷による死者が多くなっていますが、特に30日死者の場合、頭部損傷が全体の71.1%を占め、24時間死者の割合(50.8%)を大きく上回っています。また損傷主部位の状態としては「骨折」が多くなっています。