安全運転のポイント

12月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成12年12月


 自動車の安全技術には、事故を未然に防ぐ技術のアクティブセイフティ(予防安全)と、事故時の被害を軽減する技術のパッシブセイフティ(衝突安全)の2つがあります。先月号では、アクティブセイフティの技術についてお知らせしました。今月は引き続き、パッシブセイフティについて、いくつかご紹介します。なお、エアバッグやABS、衝撃吸収ボディなどの安全装備装着車両は、自動車保険の割引の対象にもなっています。

シートベルト・プリテンショナー
 車の衝突を感知した時に、シートベルトの弛みを瞬間的に巻き取る装置です。衝突の瞬間、人の体は衝撃の大きさにより移動します。そこで、衝撃を感知した瞬間、シートベルトを数センチ巻き取ることにより、乗員の体をシートに固定し体が移動するのを防ぎます。乗員を拘束するタイミングが早いほど、胸に加わるシートベルトによる衝撃力は小さくなります。
 また、後部バンパーに組み込んだCCDカメラが後方から接近する車両を監視し、追突が予測される直前にシートベルトの弛みを巻き取るシステムも実用化に向かっています。
シートベルト・フォースリミッター
 衝突時の衝撃が強すぎるとシートベルトによる拘束力も強くなり、肋骨や鎖骨などの胸部に与えるダメージが大きくなるおそれがあります。シートベルト・フォースリミッターは、前面衝突時に乗員の胸部にかかるシートベルトの荷重が一定以上の値になると、その値を維持しながら少しづつシートベルトを繰り出し、胸部へ衝撃を緩和します。シートベルト・プリテンショナーと併用することで、乗員にとって、より優しい安全装置としての機能を発揮します。


 

むち打ち防止装置
 追突された時に頭部が大きく後傾することでおこるのが、いわゆる「むち打ち損傷」。「むち打ち防止装置」は、ヘッドレストを含むシートバック全体の構造を改善したシステムのことで、いくつかの種類があります。衝撃を受けた瞬間にヘッドレストが前上方に移動し頭部を支えるものや、シートバックが衝撃を緩和させながら上体を適度に沈み込ませるもののほか、シートバック全体が後方へリクライニングすることで衝撃を吸収するものなどがあります。
SRSエアバッグ
 SRSエアバッグは、前方から一定以上の衝突の衝撃を感知するとステアリングホイール内に収納されているバッグ(助手席エアバッグはインストルメントパネル内に収納)が瞬時に膨張し、運転席や助手席の乗員の顔や頭部がハンドルなどに衝突するのを防ぐ装置です。SRSとは「補助拘束装置」の意味で、シートベルトを着用していてもハンドルなどに顔などが衝突してしまう場合に効果を発揮します。従ってシートベルト非着用や、正しく着用されていない場合は、エアバッグに顔などをぶつけ、思わぬケガをすることがあります。エアバッグ装着車は、安全のためシートベルトを正しく着用することが前提です。
その他のエアバッグ
・サイドエアバッグ
 サイドエアバッグは、側面衝突から乗員の体を守るために開発されたもので、ドアの内部やシートのサイドサポート部などにバッグが組み込まれ、横から一定以上の衝撃が加わると瞬時に展開し、運転席や助手席乗員の主に胸部の傷害を軽減します

・ヘッドエアバッグ
 ヘッドエアバッグは、おもに側面からの衝突時、乗員の頭部とサイドウインドーとの間で展開し、頭部がピラーやサイドウインドーなどに衝突するのを防ぎます。サイドエアバッグとセットで用いられ、センサーはサイドエアバッグのものを共有します。

・カーテンエアバッグ
 カーテンエアバッグは側面衝突時に乗員とサイドウインドーとの間でカーテンのように広く展開し、乗員の頭部がセンターピラーやサイドガラスに衝突するのを防ぎ、とくにガラスの破片などによる切り傷の防止に有効です。また、後席乗員を保護するものも一部実用化されています。


 

衝撃吸収ボディ
 車の衝突時には、乗員を保護するため客室へのダメージを最小限に抑えなければなりません。衝撃吸収ボディとは、車のボディの前後部をクラッシャブル(衝撃吸収構造)にすることで、衝突時の衝撃をできる限り吸収するとともに、衝撃をボディの骨格全体に効果的に分散させる車の構造のことです(乗員のいるキャビン部は、生存空間を確保するために高強度にできています)。自動車メーカーによって、GOA(ゴア)やゾーンボディ、Gコントロールなどと呼ばれます。
 また、衝突時に歩行者の傷害を軽減するものに、衝撃吸収ボンネットがあります。これは、歩行者を受け止める際にボンネットがつぶれることにより、歩行者の頭部傷害を軽減します。
ISOFIXチャイルドシート
 ISOFIXとは、ISO(国際標準化機構)で規格されているCRS(「チャイルド・レストレイント・システム」の略で、乳児用・幼児用・学童用シートの総称)の固定方式のことです。現行のチャイルドシートは、「ぐらついている」など誤使用されているケースが多いようですが、ISOFIXチャイルドシートは、車の座席にあらかじめ設けられた専用金具にチャイルドシートの金具を差し込んで固定する方式のもので、誤使用が防げます。すでに一部の自動車で実用化されています。

 

 

安全運転知識ワンポイントテスト

次の1.〜3.の問いについて、正しいものには○、誤りには×をつけて下さい。
1. 道路の「中央線」は、いつでも道路の中央にあるとは限らない。
2. 車は一方通行路を走行するときは、なるべく左側部分を走行する。

3.

左側部分の道路幅が6メートル未満の見通しの良い道路では、反対方向からの交通を妨げるおそれがない場合は、右側にはみ出して追い越しができる(ただし、はみ出し禁止場所を除く)。
答えはここをクリック