安全運転のポイント

3月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成19年3月


  昨年の交通事故発生件数は886,864件(前年比−46,964件 −5.0%)、死者数は6,352人(前年比−519人 −7.6%)、負傷者数は1,098,199人(前年比−58,434人 −5.1%)とそれぞれ前年よりも減少しました。特に死者数は昭和30年以来、51年ぶりに6,000人台前半となりました。今月は警察庁から発表された資料(平成18年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について)から、平成18年の交通死亡事故の主な特徴をまとめてみました。

高齢者の死者数が全体の4割強を占める
 死者数を年齢層別にみると、65歳以上の高齢者の死者数は2,809人で全体の死者数の44.2%を占めており、他の年齢層よりも圧倒的に多くなっています(図1)。
 また、状態別でみると、高齢者は自動二輪車乗車中を除いて、自動車乗車中、原付自転車乗車中、自転車乗用中、歩行中のいずれにおいても死者数が最も多く、歩行中の死者数2,051人中で高齢者は1,357人(66.2%)、自転車乗用中については、死者数812人のうち高齢者は475人(58.5%)を占めています。歩行中の高齢者はもちろんですが、自転車に乗った高齢者にも十分注意する必要があります。
 
飲酒運転による死亡事故は減少
 飲酒運転(酒酔い運転・酒気帯び運転)による死亡事故については、上半期は増加傾向にありましたが、8月の飲酒運転による悲惨な事故を契機に取締りが強化されるとともに、飲酒運転の危険性が再認識されたことなどによって、前年の707件から大きく減少して611件となり、10年前の半数以下となりました(図2)。
 飲酒運転は社会的犯罪です。今後も「飲酒運転をしない、させない」を徹底し根絶を図っていく必要があります。
 
夜間は歩行中の死亡事故が多い
 死亡事故件数を昼夜別にみると、昼間は3,013件(49.0%)、夜間は3,134件(51.0%)で、夜間のほうが多くなっています。
 死者数を昼夜別・状態別にみると、歩行中の死者数が昼間は655人であるのに対して、夜間は1,396人と昼間の2倍以上となっています(図3)。したがって、夜間は特に歩行者に対する十分な注意が必要です。
 
車両相互の死亡事故では出会い頭衝突が最も多い
 死亡事故件数を事故類型別にみると、車両相互が2,808件で全体の約45.7%、人対車両が1,990件で約32.4%、車両単独が1,310件で約21.3%となっています(図4)。
 車両相互では出会い頭衝突が1,024件と最も多く、全体の約16.7%を占めており、死亡事故の6件に1件は出会い頭衝突となっています。出会い頭衝突の多くは、見通しの悪い交差点で発生していると考えられます。したがって、見通しの悪い交差点では、確実に一時停止して左右の安全確認をし、車両が接近していないかどうかを確かめる必要があります。
 
安全運転義務違反が6割近くを占める
 車両(原付以上)運転者が第1当事者となった死亡事故件数を法令違反別にみると、漫然運転と脇見運転がともに835件で最も多く、次いで運転操作不適(591件)、安全不確認(569件)、最高速度違反(520件)となっています(図5)。
 上記の5つのうち、最高速度違反以外は全て「安全運転義務違反」といわれるもので、このほかに動静不注視や安全速度などがあります。これらの安全運転義務違反による死亡事故件数は3,277件で、全体の約57.8%を占めています。
*安全運転義務違反とは、道路交通法第70条の「運転者はハンドル、ブレーキ等を確実に操作し、道路、交通及び車両等の状況に応じて、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」という規定に違反する行為をいい、その具体的な違反の様態に応じて、漫然運転や脇見運転などに分類されています。
 
交差点とその付近が半数近くを占める
 死亡事故件数を道路形状別にみると、交差点内が2,417件(39.3%)、交差点付近が512件(8.3%)、合計で2,929件(47.6%)となっています(図6)。
 交差点とその付近は事故が発生しやすい場所です。したがって、右左折時に徐行するのはもちろんですが、「交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、交差道路を走行する車両や対向車、横断歩行者等に注意し、かつ、できるかぎり安全な速度と方法で進行する(道路交通法第36条第4項)」必要があるのです。