安全運転のポイント

9月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成17年9月


 先に発表された平成17年上半期(1〜6月)における全国の死亡事故発生件数(警察庁資料)をみると、人身事故発生件数(446,642件、前年比2.3%減)、死者数(3,124人、前年比−8.8%減)といずれも減少しています。これを、類型別に見てみると、出会い頭事故が496件で、全体の約16.5%を占めており、車両相互の事故においては昨年同様に最も多く、この傾向はこの数年変わっていません。
 そこで今回は、出会い頭事故をとりあげ、その原因や防止策を考えてみることにしましょう。

出会い頭の事故事例
 住宅街の多い区域を担当する営業マンのA さんは、その日も車で取引先を訪問していた。Aさんが担当する区域は比較的狭い道路が多いこともあって、見通しの悪い交差点や脇道も多かった。Aさんは、数年前に一時停止の標識を見落として交差点に進入し、交差道路から進行してきた車と危うく衝突しそうになった経験があった。それ以来、一時停止の標識や標示のある場所では一時停止をして安全確認をするよう心掛けてきたが、最近ではそういう安全意識がやや薄れて、交差道路から車や自転車などが出てきたことのないような交差点では、「今日も車や自転車は出てこないだろう」と考えて、一時停止を省略することもあった。
 その日は、ある取引先での交渉が予想以上に長引いたため、先を急いで走行していた。やがて一時停止の標識のある交差点に接近したが、そこは交通量も少なく、これまで交差道路から車や自転車などが出てきたこともなかったので、少し減速はしたものの一時停止はせずに通過しようとしたところ、交差道路の左側からバイクが進行してきて出会い頭の衝突事故を起こしてしまった。
事故に至ったプロセス
 事故に至ったプロセスを整理してみると、次のようになります。
1. 取引先での交渉が予想以上に長引いた。
2. 時間を取り戻すために先を急いでいた。
3. その交差点は普段は交通量が少なく、これまで交差道路から車や自転車などが出てきたこともなかった。
4. 今日も車や自転車は出てこないだろうと判断した。
5. 減速はしたものの、一時停止はせずに交差点に進入した。(わざわざ一時停止する必要もないと考えた。)
6. 交差道路の左側からバイクが進行してきて衝突した。
事故の原因
 この事故は取引先との交渉が長引いたために先を急いでいたことや、交差点にさしかかったとき、交通量が少ないことに加えて、これまで交差道路から車や自転車は出てくることがなかったことから「今日も出てこないだろう」と思い込んで、一時停止を省略し左右の安全確認を十分にしないままに交差点に進入したことが原因と考えられます。
 過去に出会い頭事故を起こしそうになった体験を持ち、一時停止をして安全確認を行うことの必要性を認識していても、日々同じ道路を走行し、交差道路から車や自転車も出てこないという状況が積み重なっていくと、次第に「今日も出てこないだろう」という思い込みが生じて、安全確認をしようという意識が薄れていくものです。特に先を急いでいるようなときには、一時停止をするのは無駄だとか面倒だという気持ちが強くなって一時停止を省略しがちです。それが出会い頭事故を招く大きな原因の一つとなっています。
出会い頭事故の防止策
 なによりもまず、安全確認を確実に行うことです。そのためには「しっかり止まる」ということが重要なポイントです。自分では一時停止をしたつもりでも、実際には車が停止していないというケースがよくありますから、まず「しっかり止まる」、そして交差道路の左右の状況を「しっかり確認する」ことが大切です。たとえ、普段は交通量が少なく、経験的にあまり車の来ないと思われる道路であっても、「車が来るかもしれない」と考え、必ず安全の確認を怠らないようにします。
一時停止の標識や標示のある交差点
必ず停止線(停止線のない場合は交差点の直前)で一時停止し、左右の安全確認をする。
停止線からでは左右の安全確認が十分にできない場合には、左右の状況が確認できる位置まで徐々に進行して再び停止し、安全確認をする。
一時停止の標識や標示のない交差点
徐行して進行する。なお、徐行とは、車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいい、おおむね時速10 キロ以下で進行することとされています。もちろん、見通しが悪い場合には、一時停止をし安全の確認を行うことが必要です。
道路ミラーのある交差点
必ず一時停止や徐行をして自分の目で安全確認を行うようにする。道路ミラーでは相手との距離や相手の速度が正確に判断できないうえ、相手がバイクや自転車、歩行者などの場合は見落としてしまうこともあり、道路ミラーだけに頼ってしまうのは危険です。
夜間に見通しの悪い交差点に接近するとき
交差点の手前でヘッドライトの上下を切り換える。交差道路側を進行してくる車両や歩行者に自車の接近を知らせることができ、飛び出しを防止するうえで有効です。
見通しの良い交差点での注意点
 一見、出会い頭事故は起こらないように思えますが、実際には見通しの良い交差点でも出会い頭事故がよく発生します。その原因としては、次のようなことが考えられます。
脇見をしたり考え事をして相手を見落としてしまう。
相手はいないと思い込んで交差道路側に注意を払わない。
相手を発見しても「自分のほうが先に行けるだろう」と判断する。
自車が優先だと錯覚、「相手のほうが止まるだろう」と判断する
 したがって、見通しの良い交差点に接近するときは、あらかじめ交差道路側の状況をよく確認するとともに、一時停止の標識や標示がある場合は必ず一時停止をし、一時停止の標識や標示がない場合には徐行をして、左右の確認をするとともに、相手が接近しているときは先に行かせるようにします。

 

平成17年上半期(1〜6月)の交通事故発生状況(警察庁のまとめによる)

 平成17年上半期の交通事故発生件数(概数)は446,642件(前年比−10,675件 −2.3%)、死者数は3,124人(前年比−303人 −8.8%)、負傷者数(概数)は552,266人(前年比−15,499人 と、それぞれ前年よりも減少しています。死亡事故の主な特徴としては、65歳以上の高齢者の死者数が全体の約4割強を占めていること、スピード違反による死亡事故は減少したものの、飲酒運転による死亡事故が増加していることがあげられます。