安全運転のポイント

8月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成16年8月


 運転中の携帯電話使用への罰則強化や中型免許の導入、違法駐車に対する放置違反金の導入などを盛り込んだ改正道路交通法が成立し、平成16年6月9日に公布されました。
今回の改正の主な内容は、次の6項目で、平成19年6月8日までの3年間に段階的に施行されます。(7月12日現在、施行日は明らかになっていません。)
@ 運転中の携帯電話の使用への罰則の新設 C 高速道路での二輪車の2人乗り運転の解禁
A 「共同危険行為」や「騒音運転」等への罰則強化 D 普通免許と大型免許の間に5トン以上11トン未満の車の運転ができる中型免許の導入
B 飲酒運転取締りで呼気検査を拒否した運転者への罰則強化 E 違法駐車対策の強化

平成16年12月8日までに施行される項目
1:運転中の携帯電話の使用にも罰則が
 運転中に携帯電話を手に持つなどして会話をしたり、メールの送受信などで画面を注視するだけで罰せられ、5万円以下の罰金が課せられます。
 これまでは、通話や注視により「交通の危険を生じさせた場合」に限って罰則の対象としており、携帯電話による事故の未然防止には十分とはいえませんでした。そこで、今回の改正で「運転中に携帯電話を手に持って使用したり、メールの画面を注視しているだけ」で罰せられることになりました。※
カーナビゲーションの使用は、従来どおり、危険を生じさせない限り違反にはなりません。
運転中の携帯電話の使用により交通の危険を生じさせた場合には、従来通りの罰則が適用されます。
罰則「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」
違反点数2点反則金(大型1万2千円、普通9千円、自動二輪7千円、原付6千円)
2:共同危険行為等に対する罰則強化
 従来、共同危険行為等の禁止については、実際に交通の危険や迷惑行為が確認された場合にのみ罰則(注1)が適用されてきました。しかし、これでは被害を受けた運転者等の証言などが必要なことから、結果的に暴走族の横行を許してきた経緯があります。そこで、今回の改正ではたとえ迷惑を被ったり危険にあった者がいなくても、その行為により著しく交通の危険を生じさせたり、他人に迷惑を及ぼすこととなる場合には罰則が適用(2年以下の懲役または50万円以下の罰金)されることになりました。
3:騒音運転に罰則を新設
 「急発進」「急加速」「空ぶかし等」などの他人にとって迷惑な騒音を生じさせる運転行為に対して、改正により新たに「5万円以下の罰金」が科せられることとなりました。※
4:消音器不備に対する罰則強化
 消音器をつけていないか消音器を改造した車を運転した場合の罰則が、従来の「2万円以下の罰金または科料」から「5万円以下の罰金」に引き上げられます。
5:「酒気帯び検査」拒否への罰金を最高30万円に
 現在、酒酔い運転に対しては「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、酒気帯び運転に対しては「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」という厳しい罰則が設けられたことが奏功し、飲酒運転による事故は減少傾向にありますが、その反面、飲酒運転取締りでの酒気帯びの呼気検査を拒否する運転者が増えてきています。この理由のひとつとして、現行の呼気検査拒否に対する罰則が「5万円以下の罰金」と、酒酔い運転や酒気帯び運転が発覚した場合の罰金よりも安い、という計算が働いているからと考えられます。そこで、呼気検査拒否に対する罰金が、酒気帯び運転に対する罰金と同額の「30万円以下」に引き上げられました。
 
注) ※の付された違反行為に対しては、「交通反則通告制度」が適用され、施行時までに「違反点数」や「反則金」の額が明らかにされます。

注1:道路交通法第68条
「自動車または原動機付自転車の運転者は、2台以上の自動車または原動機付自転車を連ねて通行させ、または並進させる場合、共同して著しく交通の危険を生じさせたり、または著しく他人に迷惑をかける行為をしてはならない」の規定による。


 

平成17年6月8日までに施行される項目
高速道路での自動二輪車の2人乗り解禁
 これまで禁止されていた高速道路(高速自動車国道および自動車専用道路)での自動二輪車の2人乗りが、「20歳以上で経験3年」以上のライダーについてはできることになりました。ただし、この条件に違反した場合の罰則も従来の「5万円以下の罰金」から「10万円以下の罰金」に引き上げられました。
 
平成18年6月8日までに施行される項目
違法駐車に対する使用者への放置違反金の導入
取締業務の一部の民間への委託を可能に
 都市を中心に常態化している駐車違反は、交通渋滞、交通事故の原因となっています。こういった駐車違反がもたらす弊害への打開策として、放置車両(違法駐車で、運転者が車を離れて直ちに運転することのできない状態にあるもの)の運転者が反則金を納付しない場合には、放置車両の使用者(車両の使用の権限を有し、その運行を支配し管理する者)に対して「放置違反金」の納付が命じられるようになりました。なお、「放置違反金」の納付期限が過ぎても違反金を納付していない場合、その車は車検を通らず、「放置駐車」を重ねるなど悪質・危険な場合には自動車の使用が禁止されることもあります。
 また、違法駐車の取締まり業務の一部(放置車両の確認及び標章の取付)を一定の要件を満たす法人に委託できることになりました。
 
平成19年6月8日までに施行される項目
中型免許の導入
 現行の普通免許と大型免許の中間に中型免許を導入することになりました。これは近年の貨物自動車の大型化に伴う重大事故に対応した改正です。この他、それに対応する自動車区分の基準が下表のように改正されます。

表:免許の種類と受験資格

  自動車の種類 第一種免許の種類

受験資格

現行 大型自動車 大型免許 ・20歳以上
・運転経験年数2年以上
普通自動車 普通免許 ・18歳以上
改正後 大型自動車※1 大型免許 ・21歳以上
・運転経験年数3年以上
中型自動車※2 中型免許 ・20歳以上
・運転経験年数2年以上
普通自動車※3 普通免許 ・18歳以上
※1:車両総重量11トン以上・乗車定員30人以上
※2:車両総重量5トン以上11トン未満・乗車定員11人以上30人未満
※3:車両総重量5トン未満・乗車定員11人未満