安全運転のポイント

2月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成16年2月


 「無くて七癖」というように、癖というものは本人がなかなか気がつきにくいものです。車の運転に関しても、走行中の操作に限らず、運転姿勢や運転態度に関するものまで、ドライバーが気づきにくい様々な癖があります。運転免許を取得したばかりの頃は、多くのドライバーは教習所等で習った基本つまり「交通の方法に関する教則」に忠実な運転をしています。ところが運転に慣れるに従い、自己流の運転をしがちになり、知らず知らずのうちに基本からずれていって、それが習慣となり、いつのまにか癖となってしまったと思われます。
 ところで、運転の癖にはもちろん好ましいものもありますが、それほど危険でないような癖でも、他のドライバーの判断誤りを誘発したり、周囲の状況によっては、事故につながるような好ましくない癖は早めにチェックし、直しておくことが大切です。みなさんはどうでしょうか。今回はこの運転上の好ましくないと考えられる癖についてリストアップしましたので自己チェックしてみてください。(または周りの人にチェックしてもらってください)

運転姿勢での好ましくない癖
 好ましくない運転上の癖が事故に結びつく一例をあげてみましょう。運転姿勢に関する癖の中で「シートに浅く腰掛ける癖」があります。シートに浅く腰掛けたのでは、ブレーキを強く踏む必要のあるときに、腰が後方にずれてしまい、膝が伸びきって、完全に踏めない状態になります。これは状況によって事故に結びつきます。またシートを後ろに引きすぎている場合も同様の状態になります。正しい運転姿勢としては、背中と腰をシートバックに密着させて深く腰掛け、ブレーキを踏み込んだとき、膝がまだわずかに曲がる状態に合わせ、シートの前後位置を調節するようにする必要があります。その他チェックリストにあるような癖も好ましくありません。
 正しい運転姿勢は安全な運転の基本中の基本です。早めに自分の癖に気づき、基本に戻しましょう。

正しい運転姿勢

 
運転操作における好ましくない癖
 大きくハンドルを切るとき、内側からハンドルを握る癖のある人がいます。(写真) たしかにこの逆手ハンドル(内掛けハンドル)を使うと簡単に大きく切れるという面はあります。しかし、このハンドル操作は、@ハンドルを持ち替えるときにタイムラグが生じるので、緊急にハンドルを切る必要が出たときに間に合わない、Aハンドルを切っている途中でハンドルを戻す必要が生じた場合に、その切り返しが難しい、という具合の悪い面があります。この逆手ハンドルは使わないようにしなければなりません。
 運転操作の基本は正しい姿勢での、正しいハンドルの握りと滑らかな操作、正しいブレーキ操作と穏やかなアクセル操作からです。そして個々の道路状況、交通状況に応じた正しい運転方法の実行です。チェックリストにあるような癖はこれらの基本からはずれ、状況によっては事故の契機ともなる好ましくないものと言えます。
 
運転態度としての好ましくない癖
 ルームミラーやフロントガラスにかわいい人形などを吊り下げている人がいます。この場合、運転者の視野の中では、常にこの人形が動いていることになります。通常運転者の目は、視野の中で何かの異常な動きを感じたときに、その方向に目の中心を向け、確認を行うという作業をしています。しかし、視野の中で人形が常に動いていると、その動きに慣れてしまい、人形以外に何か異常に動くものがあったとしても、その動きを見落とす可能性があります。運転者の視野の中に動くものを置くことは、安全運転態度上問題です。
 安全な運転態度とは、自分を含め何人の生命をも脅かさない安全な運転を心がけようとする心的傾向性を言い、安全運転者として最も求められるものです。チェックリストに掲げた癖が見られる人はまさしく運転態度が未成熟と言っていいのではないでしょうか。
 
癖をチェックしてみよう
日頃の運転ぶりをチェックし(またはチェックしてもらい)、気がついた運転上の癖があれば基本に戻し、安全運転を心がけてください。
各交通状況に応じた安全運転の基本も併せて記載しましたので参考にしてください。
区分 交通状況 運転上の癖 安全運転の基本

姿

乗車時
発進時
など

周囲の安全確認をしないですぐ運転席に座る
シートベルトを億劫がる
発進してからシートベルトを締める
シートを後ろに引きすぎ、浅くかけすぎ、背もたれを倒しすぎ
方向指示器などによる合図をしないで発進する
座ってすぐエンジンをかけ走り出す
周囲、下の安全確認
運転席・背もたれ角度の調節・ミラー調節・シートベルト装着
前後左右確認→合図→再確認→発進

走行中
操作全般

急ハンドル、逆手ハンドル、片手ハンドル、送りハンドル
急発進・急加速・急停止
見切り発進
シフトレバーに片手を置いたまま
走行中にミラーを調節する
正しいハンドルの握り
滑らかなハンドル操作
正しいブレーキ操作
穏やかなアクセル操作
単路
走行時
20 キロくらいは平気でスピードオーバー
車間を詰めすぎ、開けすぎ
進路変更で後方確認しない、合図が遅い、動作が早い
車線変更が多い
安全な速度での走行
安全な車間距離での走行
正しい手順での進路変更
正しい手順での追越し
カーブ
走行時
カーブでスピードを緩めない
姿勢が傾く
カーブの手前でスピードを落とす
ハンドルはゆるやかに操作する
信号
交差点
通過時
信号の変わり目でアクセルアップする
黄信号を強引に通過する
右左折の合図を直前に出す
右左折で徐行しない
大回りで左折する
右折でショートカットする
黄信号は基本的に停止
右左折早めの合図・徐行
大回り左折をしない
ショートカット右折をしない
一時停止
交差点通
過時
停止線を気にしない
一時停止せず、徐行する
左右の確認動作が形だけ
停止線手前で完全に停止、
右→左→右見て徐行発進
交差道路に頭を出して完全停止、
右→左→右見て徐行発進
バック
走行時
ミラーだけ見てバックする
行動が早い
確認回数が少ない
窓を開けて、目視確認
左右ミラーと後方の繰り返し確認
スピードは最徐行
状況により下車確認、同乗者に誘導依頼
夜間
運転時
周りが暗くなっても車幅灯等をつけない
夜間いつでも下向きライトで走る
薄暮時早めに点灯
前照灯の上向き、下向きはまめに切り替える
降車
駐車時
方向指示器などによる合図をしないまま駐・停車する
降車時後方確認しない
すぐ用事がすむからと、曲がり角や横断歩道の直前・直後に駐車する
周囲後方の確認
サイドブレーキを引き、ギアをPに入れる

乗車中
全般
脇見が多い
譲ろうとしない
クラクションをよく鳴らす、鳴らそうとする
ミラーによる確認が少ない
よく割り込みしようとする
歩行者、自転車が近くにいても徐行しない
障害物をとっさのハンドル操作で避ける
狭い道路でもスピードを落とさない
横断歩道に入り込んで停止する
運転席にマスコットや人形を吊り下げている
携帯電話で通話しながら運転する
渋滞時や停止中に雑誌や新聞を読む
狭い道、横断歩道等での歩行者、自転車へは徐行・停止などで配慮する
生活道路・スクールゾーンではスピードを落とすなど配慮する
障害物を避けるのにハンドル操作に頼らず、徐行・停止を優先する
他車(者)に対して譲る余裕をもつ
イライラ、先急ぎにならない運転をする
サイドミラー・バックミラーで絶えず確認する