安全運転のポイント

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7月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成15年7月


 朝、駐車場所へ行ったら愛車がこつぜんと消えている。窓ガラスを割った形跡もなく、もちろん鍵は抜いていたのに・・・・・・。近頃巧妙な手口による車両盗難が急増しています。エンジンキーを抜きドアをロックした状態での車両盗難は、2002年に自動車盗難として届出のあった件数62,673件のうち約7割を占めています。(警察庁統計)
「新車ではないから大丈夫だ」とはいえなくなりました。盗難に遭った車の3分の2は新規の登録から3年以上経過したものです。新規登録後1年以内の車の盗難は1割弱に過ぎません。(日本損害保険協会2002年度調査)
また、日本損害保険協会の意識調査でも、自分の車の盗まれる危険性を感じていない人が4割近くいるなど、まだまだ自動車盗難は他人事という意識があるようです。自動車盗難は高額な財産を失うだけでなく、強盗、ひったくりなど二次的犯罪に使われることもあります。盗難被害に遭わないためにしっかりとした備えをしておきましょう。今回は、自動車盗難の手口とその対策を中心にまとめてみました。

「キーつき盗難」、「キーなし盗難」
 自動車盗難はその状況によって大きく2つに分類できます。1つはキーをつけたまま盗まれるケース(「キーつき盗難」と呼びます)で、他の1つは、キーを抜いてドアをロックしたにもかかわらず盗難に遭うケース(「キーなし盗難」と呼びます)です。警察庁が発表した「自動車盗難認知件数の推移」(図1)によれば、「キーつき盗難」は毎年2万件前後で推移していますが、「キーなし盗難」は認知件数全体の増加にほぼ比例して増加していることがわかります。2002年では全体の67.8%が「キーなし盗難」です。「車から離れるときは、必ずキーを抜き、ドアをロックすること」が盗難防止の基本で、必ず実行しなければいけませんが、上記の「キーなし盗難」に対しても十分対策をとる必要があります。

盗難の手口
 車両盗難の手口は車内への侵入と、車体の移動の2段階ありますが、いずれも、窓ガラスを割るような荒っぽい手口から、ピッキングや合鍵による巧妙なものまで様々あります。以下は盗難手口の一例です。
ピッキング ドアのキーシリンダーに特殊な形の2本の金属ヘラを差込み開錠します。シリンダーの種類によっては、数分以内で開けてしまいます。侵入後は工具などでステアリングロックを破壊し、電気配線を直結してエンジンを始動させます。また、ピッキングで住居に侵入し、キーを盗んでから車を盗むケースも見られます。
持ち逃げ イモビライザー(*)などの防犯装置がついている車に対しては、窃盗犯は時に大胆な手口を使うこともあります。クレーン車や、レッカー車で駐車場に乗りつけ、あらかじめ狙いをつけた車を吊り上げて盗むというものです。

イモビライザー(電子式移動ロック装置)
エンジンキーに埋め込まれているトランスポンダー(電子チップ)のID コードと車両本体内電子制御装置にあらかじめ登録されたID コードが一致しないと、電気的にエンジンが始動しないという盗難防止装置です。したがって、ステアリングロックを破壊して電気的に直結したり、キーを複製してもID コードを有していないのでエンジンは始動しません。今最も有効な自動車盗難防止装置と言えます。
合鍵作成  トランクのキーシリンダー部分を取り外し、鍵を作成する手口です。いったん車から離れ、合鍵を作ってから戻ってきて、盗み出します。また、その場で合鍵を作ってしまうケースもあります。
盗難から車を守る心得
必ず鍵をかける 昨年の盗難被害の3件に1件はキーをつけたままでした。車から離れるときは、たとえわずかな時間であっても、必ずエンジンキーを抜き、ドアをロックし、窓を完全に閉めましょう。ステアリングロックも確実に効かせておきましょう。
路上駐車は厳禁  やむを得ず路上に駐車した場合は、ときどき車を見にいきましょう。
駐車場所を選ぶ 管理人のいる駐車場は安全性が高いといえますが、無人のコインパーキングで駐車する場合は、ビルの谷間にあるような閉鎖的なパーキングより、人通りの多い場所を選び、できれば監視カメラが設置されている場所を選びましょう(夜間は照明で明るい場所を選びましょう)。
自宅ガレージなどにセンサーライトをつける 自宅で駐車中に盗難に遭うケースもあります。ある距離に近づいてきた人に反応してライトを照らす「センサーライト」を自宅ガレージや玄関先に取り付けると効果があります。ライトが点滅する方式もあります。
車内にスペアキーを置かない 貴重品はもちろんですが、グローブボックスの中など車内にスペアキーを置かないようにしましょう。バンパーの下にマグネットで貼りつけたりするのも危険です。車上荒らしから自動車盗難に移るケースもあります。
車を預けるときは他人任せにしない  たとえば、展示会場の入り口などで、スーツ姿の営業マンらしき人に車のキーを預けたところ、窃盗犯だったという例もあります。できる限り、車は自分自身で駐車位置に停めるようにしましょう。
防犯グッズを活用する たとえばハンドルやブレーキを固定するもの、車に触れると警報を発するもの、持ち主の携帯端末に異常を通報するもの、GPS (衛星を利用した測位システム)を使い、盗難に遭った車の位置を知らせるものなど多様な防犯グッズが市販されています。
盗難に遭ってしまったら
すぐに110番
連絡が早ければ早いほど、発見される可能性も高くなります。車のナンバーだけでなく、車台番号や型式、特徴などが被害届作成時に必要になります。日頃から自分の車の特徴などを控えておくとよいでしょう。また、車検証のコピーを取っておくことをお勧めします。