安全運転のポイント

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 睡眠が十分でない場合には、運転中の居眠りばかりでなく、集中力の低下のために、判断や操作のミスを引き起こす可能性が高くなります。
 現代はストレス社会や24時間社会などと呼ばれ、睡眠を阻害する要因が多く、いわゆる睡眠障害に悩む人も少なくありません。
 最近も、睡眠障害のひとつである「睡眠時無呼吸症候群」により、運転中に居眠りをしてしまうという例があり、睡眠障害がクローズアップされてきました。
 今月は運転に大きな影響を与える睡眠障害への対処についてまとめてみました。

睡眠障害について
 睡眠障害の症状は大きく分類すると「不眠」「過眠」「睡眠時間帯の異常」「睡眠中の異常現象」の4つになります。
「不眠」には「寝つきの悪いもの」「中途で何度も目をさますもの」「早朝に目が覚めてその後眠れないもの」など様々のタイプがあります。
 「過眠」は日中に過剰な眠気が起きる状態をいいます。仕事や学習など日常生活に支障を来すような場合には病的と考えられ、代表的な疾患には「睡眠時無呼吸症候群」と「ナルコレプシー」があります。
 「睡眠時無呼吸症候群」は睡眠中に激しいイビキと呼吸停止が頻繁に生じ、睡眠が妨げられ、日中の耐え難い眠気を引き起こすものです。中年以降の、特に男性に多く見られます。「ナルコレプシー」は日中の耐え難い眠気と通常10分〜20分の居眠りが繰り返し生じる(睡眠発作)疾患です。
 「睡眠時間帯の異常」は望む時間帯に眠れず、不都合な時間帯に眠気がおそってくるような睡眠障害です。
遅くまで寝つけず、昼まで眠っているもの、眠れる時間が毎日遅れていくもの。昼夜逆転するものなどいろいろなタイプがあります。
 「睡眠中の異常現象」は不完全な覚醒によるねぼけ行動など睡眠中に異常な言動を起こすものです。これもタイプは様々です。

睡眠障害に対する12の指針
 厚生労働省の研究班では、平成11年から13年の研究に基づき、前記のような多種多様な睡眠障害に対処するため、「睡眠障害対処12の指針」(睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」)を発表しています。
 この12の項目はすべて日常の実際の生活で活用できるものばかりです。積極的に日常生活習慣にとりいれ、睡眠障害に対処(予防・早期発見)してください。
1 . 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
日中しっかり目覚めて過ごせるかどうかが睡眠充足のめやすで、必要な睡眠時間は8時間だという学問的根拠はなく、個人個人で異なります。
2 . 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
カフェインの覚醒作用は摂取後約30〜40分後に現れ、4〜5時間持続します。
就床前4〜5時間の摂取は避けるようにします。タバコに含まれるニコチンは交感神経系の働きを活発にし、睡眠を妨げますので、就眠直前のタバコは避けるべきです。
3 . 眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
自然に寝つくことのできる時刻は、季節や日中の活動量により変化します。就床時刻はあくまで目安で、その日の眠気に応じ、眠くなってから床につくことがスムーズな入眠への近道です。眠ろうとする意気込みは頭をさえさせ寝つきを悪くします。
4 . 同じ時刻に毎日起床
毎朝同じ時刻に起床し、起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが速やかで快適な入眠をもたらします。早起きが早寝に通じます。日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなります。
5 . 光の利用でよい睡眠
太陽の光を浴びることで体内時計のリズムがリセットされます。そこから約15〜16時間後に眠気が出ます。光によるこのリセットが行われないと、寝つくことのできる時刻が約1 時間遅れます。起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが大切です。
6 . 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
朝食は脳へのエネルギー補給になり、体温を高め、活動レベルを高めます。夜食をとり過ぎると睡眠が妨げられます。夜食をとる場合は消化のよいものを少量にします。昼間の運動習慣は熟睡を促進します。
7 . 昼寝をするなら、15時前の20〜30分
30分以上の長い昼寝をするとかえってぼんやりしてしっかり覚醒するのが困難になります。また夕食後に居眠りすると、その後目がさえて、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。昼寝をする場合は昼食後から15時までの30分未満にします。
8 . 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
睡眠に対して意識過剰になり、少しでも眠ろうとして、必要以上に長く寝床で過ごすと、かえって睡眠が浅くなり、夜中に目覚めやすくなります。このようなときは、むしろ遅寝、早起きにすると熟睡感が増します。
9 . 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
睡眠と関連して起こる身体の病気により、夜間の不眠、日中の眠気が起こることがあります。睡眠中の激しいイビキ、呼吸停止、足のぴくつき・むずむず感を感じる場合、病気が潜んでいる可能性が高く、危険なサインと考えて専門医の診断を受けてください。
10 . 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談してください。日中の過剰な眠気は睡眠の質的・量的低下によるものがほとんどですが、中には過眠症という病気が隠れている場合があります。
11 . 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
睡眠薬代わりにアルコールを使用すると、寝つきはよくなるが夜間後半の睡眠が浅くなり、途中で目覚める原因となります。連用すると慣れが生じ、使用量が増加します。
12 . 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
現在使われている睡眠薬は、昔使われていた睡眠薬とは違うもので、正しく使えば安全な薬です。医師の指示を守って服用してください。