安全運転のポイント

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改正道路交通法等の施行
(悪質・危険運転者対策の強化)

 道路交通法(13年6月改正)、および同施行令(14年2月改正)が、いよいよ来る6月1日から施行されます。今回の改正は、「悪質・危険運転者対策の強化」、「病気等に係わる免許の拒否基準の整備」、「第二種免許制度の見直し」、「運転免許の更新の負担軽減」、を主な内容としています。このうちの悪質・危険運転者対策に係わるところについて紹介します。
 改正内容が示すとおり、今後、悪質・危険な運転は社会的にも強い批判を受けることになります。皆さんはこのような運転を絶対にしないで下さい。
悪質・危険な運転行為への罰則が大幅に強化されます

(道路交通法)

   酒酔い運転、無免許運転、救護義務違反(ひき逃げ)などの悪質・危険な運転に対する罰則(懲役刑や罰金)が大幅に強化されます。内容は表1のとおりで、罰金の上限が2.5倍から最高6倍まで引き上げられ、懲役の年限も1.5倍から最高4倍へと引き上げられます。
きわめて悪質・危険な運転者の欠格期間が最長5年となります

(施行令)

   これまで、免許の取消し歴のない人についての欠格期間(免許が取得できない期間)は最長で3年でした。これが、悪質・危険な運転者について、1回目の取消しであっても5年の欠格期間が指定できるようになります。
 たとえば、
酒酔い運転、麻薬等運転または共同危険行為(自動車や二輪車を2台以上連ねて走行し他人に迷惑を及ぼす行為)禁止違反をし、もっぱら自己の不注意によって死亡事故を起こした者
故意により人を死傷させた者
危険運転致死傷罪(刑法208条の2、13年12月に新設された)を犯した者
は1回目の免許取消しでも5年の欠格期間となります。

   
表1 改正前と改正後の罰則
区分 改正前 改正後
違反行為 罰金 懲役  罰金 懲役
酒酔い運転 10万円以下 2年以下 50万円以下 3年以下
酒気帯び運転 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上 5万円以下 3月以下 30万円以下 1年以下
呼気中アルコール濃度0.15mg/l〜0.25mg/l未満  − − 
過労運転(麻薬等) 10万円以下 2年以下 50万円以下 3年以下
過労運転(その他) 10万円以下 6月以下 30万円以下 1年以下
無免許運転 10万円以下 6月以下 30万円以下 1年以下
救護義務(ひき逃げ) 20万円以下 3年以下 50万円以下 5年以下
免許証不正取得 10万円以下 1年以下 30万円以下 1年以下
共同危険行為 10万円以下 6月以下 50万円以下 2年以下
酒酔い運転下命・容認 10万円以下 2年以下 50万円以下 3年以下
酒気帯び運転下命・容認 5万円以下 3月以下 30万円以下 1年以下
過労運転(麻薬等)下命・容認 10万円以下 2年以下 50万円以下 3年以下
過労運転(その他)下命・容認 10万円以下 6月以下 30万円以下 1年以下
無免許運転下命・容認 10万円以下 6月以下 30万円以下 1年以下
  
悪質な違反行為に対する違反点数・付加点数が大幅に引き上げられます

(施行令)

   酒酔い運転などの悪質な違反行為に対する点数が大きく引き上げられます(表2)。たとえば、酒酔い運転、麻薬等運転、共同危険行為については15点から25点となり、この結果1回目の違反でも欠格期間2年の免許取消しとなります(表4)。このほか酒気帯び運転、過労等運転、無免許運転、救護義務違反等についても引き上げられます。
 違反行為が事故につながった場合の付加点数についても引き上げられ、責任の重い死亡事故の場合、従来の13点が20点となります(表3)。この結果、酒酔い運転で、責任の重い死亡事故の場合、合計で45点(25点+20点)となり、1回目の取消しであっても欠格期間5年の免許取消しとなります。(表4)
表2 改正前と改正後の違反点数
区分 改正前 改正後
違反行為 違反点数 違反点数
酒酔い運転 15点 25点
酒気帯び運転 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上 6点 13点
呼気中アルコール濃度0.15mg/l〜0.25mg/l未満  − 6点
麻薬等運転 15点 25点
過労運転等 6点 13点
無免許運転 12点 19点
救護義務(ひき逃げ) 10点 23点
共同危険行為 15点 25点
酒気帯び運転の基準値が引き下げられます

(施行令)

   道路交通法では、飲酒の量に関係なく、酒気を帯びて運転することを禁じています。実際の取り締まりでは、処罰の対象とする基準値を、これまではアルコールの保有程度を「血液1ミリリットルにつき0.5ミリグラム以上、呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上」としていました。これが今回の改正で「0.3ミリグラム以上、0.15ミリグラム以上」と厳しくなり、違反点数も6点がつけられることになります。
表3 改正後の交通事故の付加点数
交通事故の種別 責任の種別 点数
死亡事故 重い 20点
軽い 13点
傷害事故(治療期間3か月以上等) 重い 13点
軽い 9点
傷害事故(治療期間30日以上3か月未満) 重い 9点
軽い 6点
傷害事故(治療期間15日以上30日未満) 重い 6点
軽い 4点
傷害事故(治療期間15日未満)建造物損壊事故 重い 3点
軽い 2点
故意による人の死傷や建造物損壊、危険運転致死傷罪の場合は45点が付けられます。
     
表4 改正後の免許停止・取消し処分の基準
過去3年以内の免許停止処分等の回数  免許の停止(保留) 免許の取消し(拒否)
欠格期間1年 欠格期間2年 欠格期間3年 欠格期間5年
前歴なし 6〜14点 15〜24点 25〜34点 35〜44点 45点以上
1回 4〜9点 10〜19点 20〜29点 30〜39点 40点以上
2回 2〜4点 5〜14点 15〜24点 25〜34点 35点以上
3回以上 2点または3点 4〜9点 10〜19点 20〜29点 30点以上
過去5年以内に免許取消し等処分歴のある人の場合は、欠格期間1年が3年に、2年は4年に、3年は5年に延長されます。