安全運転のポイント

ニュース 

平成13年中の交通死亡事故の特徴

 昨年の交通事故発生件数は947,169件(前年比+15,235件、+1.6%)で、負傷者数も1,180,955人(前年比+25,258人、+2.2%)と、共に増加しており過去最悪を更新しています。しかし、一方、交通事故による死者は8,747人と前年より319人減少(−3.5%)しました。死者数は年々減少傾向でしたが9,000人以下になったのは、昭和56年以来20年ぶりのこととなります。事故件数、負傷者数が増加している中で、減少している死亡事故はどんな特徴があるのでしょうか。そこで、今月は、警察庁の発表資料から、死亡事故の特徴をいくつかピックアップしてみました。安全運転の参考としてください。
死亡事故の減少理由?
   最近10年間の死者数では、平成7年、12年を除いて、毎年大幅に減少しています。この10年間でみられる大きな特徴は、危険認知速度(車両の事故直前の速度)の低下とシートベルト着用率の向上です。高速度事故(81km/h以上)の減少、シートベルト着用による致死率の低下が死亡事故減少の大きな要因となっています。また、各年でみると、取締り活動の増加した年は死亡事故が減少していることから、取締り活動も死者数の増減に影響する要因といえます。このような中で13年は前年からさらに減少しました。つぎに13年の死亡事故の特徴を見てみましょう。
状態別、年齢層別では?
   交通事故による死者を状態別に見ると、「自動車乗車中(3,711人)」、「歩行中(2,456人)」、「自転車乗用中(992人)」などとなり、ここ数年、このワースト3の順位は変わっていません。13年は、自動車乗車中のうち「運転中」の死者が16〜24歳を中心に大きく減少(−236人)したのが特徴です。この結果、65歳以上の高齢者の死者(526人)が、16〜24歳の若者の死者(503人)を初めて上回りました。
昼夜別では?
   昼夜別の死者数は、例年通り夜間(4,727人)が昼間(4,020人)を上回っています。夜間が多い最大の理由は、歩行者事故が、夜間が昼間の約2倍も発生しているためです。平成4年からはその差が縮小される傾向にありますが、13年は夜間での「自動車乗車中」及び「歩行中」の死者が大きく減少し(−199人、−130人)、その差がさらに縮小しました。しかし、夜間では特に歩行者事故に注意が必要であることは変わっていません。

交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移

違反別では?
   自動車等(原付以上)が第1当事者となった死亡事故を違反別にみると、最高速度違反(1,167件)がもっとも多く、次いで脇見運転(978件)、漫然運転(955件)などとなり、例年と同じ傾向となっています。13年は、最高速度違反が減少している一方、信号無視(366件、+37件)、歩行者妨害等(411件、+38件)といった、運転者の重大な法令違反やマナーの低下による死亡事故が増加しているのは懸念すべき傾向です。
事故形態では?
   事故類型別の死亡事故では、「人対車両の横断中(1,741件、構成率20.7%)」がもっとも多く、次いで「車両相互の出会い頭衝突(1,390件、構成率16.5%)」、「車両単独の工作物衝突(1,375件、構成率16.3%)」が多いことは変わっていません。ただし13年は、車両相互の出会い頭事故は前年より増加(高齢者層で増加)し、車両単独の工作物衝突は減少(若者層で減少)しています。
 
死者数・危険認知速度別交通事故件数の推移(指数)(一般道路)
危険認知速度別の死亡事故率は、50km/h以下0.4%、51〜80km/h4.2%、81km/h以上16.8%であり、車両の速度が増すほど死亡事故率(死亡事故率=死亡事故件数/事故発生件数)が非常に高くなる。
 
高齢者の事故は?
   高齢者(65歳以上)の死者は、平成5年に若者(16〜24歳)の死者を上回って以来、ほぼ横ばいの状態で推移し、高齢死者の割合は年々増加しています。高齢者の死亡事故の特徴を13年でみると次のとおりです。
歩行中が一番多いが、自動車や自転車乗用中も増えている
昼の事故の方が多いが、歩行中は夜の方が多い
違反別では、一時不停止、漫然運転が多く、かつ増えている
車両相互の出会い頭事故が多く、かつ増えている
 
シートベルト着用率と致死率(自動車乗車中)の推移
注 シートベルト着用者率=シートベルト着用死傷者数(自動車乗車中)÷死傷者数(自動車乗車中)×100
致死率(自動車乗車中)=死者数(自動車乗車中)÷死傷者数(自動車乗車中)×100