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悪質・危険な運転による交通事故は厳罰!!

「危険運転致死傷罪」が新設・施行

 酒や薬物を飲むなど悪質で危険な運転をし、人を死傷させた者に厳罰を科す「危険運転致死傷罪」が、昨年11月28日に成立、12月25日施行されました。今回の刑法改正は、車を運転するドライバーの皆さんに、一層の自戒を求める厳しいものです。そこで今回は、「危険運転致死傷罪」についてまとめてみました。
「危険運転致死傷罪」成立の背景
   今回の刑法改正のきっかけとなったのは、’99年11月に東名高速道路で飲酒運転のトラックが乗用車に衝突し、幼い姉妹2人が焼死した事故でした。この事故は、大きな社会問題となり、元運転者が一審・二審とも懲役4年とされ、厳しい刑罰を望む遺族らの感情と現行法との落差が浮き彫りとなっていました。
 このため、「今の法律では刑が軽すぎる」と悪質な運転に対する厳罰化を求める市民運動が展開され、今回の「危険運転致死傷罪」の新設という刑法改正につながったのです。
   
刑罰が最大で3倍に引き上げ
   これまで、交通事故により人を死傷させた場合には、刑法の「業務上過失致死傷罪」が適用されていました。業務上過失致死傷罪は、死亡事故と傷害事故とを区別せず、たとえば交通事故で死亡事故を起こしても「5年以下の懲役・禁固又は50万円以下の罰金」に処され、必ずしも実刑判決を受けるとは限りませんでした。
 今回の「危険運転致死傷罪」は、たとえば飲酒運転など悪質・危険な運転で人に死傷を負わせた場合に適用され、ケガを負わせた場合は10年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役(最高で15年)が科されます。業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役・禁固又は50万円以下の罰金)に較べ、刑罰が最大で3倍に引き上げられています。
悪質・危険な運転とは?
   「危険運転致死傷罪」が適用されるのは、四輪以上の自動車で次のような行為をし、死傷事故を起こした場合です。
1. アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2. 進行を制御することが困難な高速度で、又は進行を制御する技術を有しないで自動車を走行させる行為
3. 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
4. 赤色信号等を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 ドライバーの皆さんは、このような悪質・危険な運転は絶対にしないように心がけましょう。

飲酒運転は、道路交通法でも厳罰化
   昨年6月、道路交通法が一部改正され、悪質・危険な運転に関する罰則が引き上げられます(今年6月までに施行)。たとえば、酒酔い運転は、2年以下の懲役または10万円以下の罰金から「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります(酒気帯び運転は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金から「1年以上の懲役または30万円以下の罰金」となります)。また、酒気帯び運転による人身事故の場合でもこれまでの免許停止処分(前歴0回の場合)から免許取消し処分とすることが検討されています。
 飲酒運転などの悪質・危険な運転には、「過失犯」としてではなく、「故意犯」に準ずる重い処分が適用されることになり、一生を棒に振ることにもなりかねません。「ほんの少しのお酒なら・・・」といった油断は絶対禁物です。
   (危険運転致死傷罪)
刑法第208条の2 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は10年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も同様とする。