安全運転のポイント

月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成13年8月


 いわゆる警察統計ではわからない、物損事故を含む交通事故の件数や大きさを表す全国統計として「自動車保険データにみる交通事故の実態」(日本損害保険協会)があります。
このたび発表された2001年版(1999年度データ分析)から、交通事故の物損事故に焦点を当て、その実態を見てみましょう。

物損事故の大きさ
 物損事故の損害件数は約674万件であり、人身事故被害者数(125万人)をはるかに超える件数となっています。交通事故の中身は人身事故のほかに、膨大な物損事故があることが分かります。ちなみにこの数字は1999年中の新車販売台数(670万台)にも相当します。(グラフ1参照)。
 一方、物損事故の損失額総額は1兆8,041億円で、埼玉県、神奈川県の年間予算額に匹敵する大きさです。
 また、人身事故損失額1兆6,765億円と合わせた交通事故全体の年間経済的損失額は3兆4,806億円と推計されています。(グラフ2)これはタイや香港の国家予算額を上回る巨大な数字です。

 

追突事故が件数、金額とも最大
 物損事故はどのような事故類型で起きているのでしょうか?件数、金額とも約30%が追突事故により起きており、最大の事故類型となっています。次いで側面衝突、構築物衝突となっています。(グラフ3参照)追突事故は、人身事故でも最大件数であり、追突事故の防止が急務であることをしめしているのではないでしょうか。
 損害物1件当たりの平均損失額はどうでしょうか?物損事故の平均額は26万8千円ですが、車両単独事故の横転・転落は43万6千円、正面衝突36万4千円、構築物衝突33万6千円となっており、これらの事故が高額な損失につながることを物語っています。

20才台の運転者が最大
 ではどんな年齢層の人が物損事故を起こし、どのくらいの損失額になっているのでしょうか?20〜29才の運転者の物損事故が損害物件数・金額で30%強を占め、最大となっています。(グラフ4参照)この年齢層は人身事故でも最大の加害運転者層となっており、いわゆる若年者への重点的安全運転教育が必要であることに変わりはありません。
 事故類型と合わせてみてみると、一番多い追突事故は20才台の運転者によるものですが、年齢が上がるとともに、追突事故は減少し、側面衝突、後退時衝突が増加する傾向となっています。物損事故を減少させるためには、20才台の運転者による追突事故防止が鍵といえそうです。

 

車重の重い車ほど損失額が大きい
 車の用途・車種別ではどうなっているでしょうか?自家用小型乗用車の事故がもっとも多く、自家用普通乗用車、軽四輪乗用車、軽四輪貨物車、自家用小型貨物自動車と続いています。しかし、1件の平均の損失額では、営業用普通貨物車が53万4千円と全平均額(26万8千円)のほぼ2倍と際だって高くなっています。車重の重い車種ほど平均額が高い傾向となっています。(グラフ5)
 事故類型を見ると、用途・車種ごとに特徴がみられます。どの車種も概ね追突事故の割合が多くなっていますが、自家用普通貨物車、バス、特殊車は、構築物衝突が、営業用乗用車、軽四輪貨物車は、側面衝突が、二輪自動車は横転転落がもっとも多くなっています。