安全運転のポイント

 夏に向い疲労を感じやすい時季に入ります。疲労した状態での運転は事故に結びつきますので、疲労は安全運転上の大敵です。そこで今月は、運転と疲労について考えてみました。

疲労とは
 人間は、心身の作業をすることにより作業能率が低下します。これが疲労です。疲労自体は人間の正常な反応であり、誰でも疲労しますが、一方、適当な休息、睡眠をとれば誰でも回復するものです。また疲労は「疲れた」と自覚できることが大きな特徴です。
 疲労は精神的な疲労と肉体的な疲労とに大きく分けられます。車の運転は、主に視覚を使った認知・判断・操作という頭脳作業ですから運転疲労の大部分は、精神疲労であるといえます。

 

疲労を早める運転
無謀な運転:強引な車線変更を繰り返す、速度を出しすぎるなどの無謀な運転は、それだけ緊張の度合が高まるため、早く疲労します。また、渋滞などで思うように車が進まず、イライラとハンドルを握るような場合も疲労を早めます。
姿勢の悪い運転:同じ時間運転していても、すぐに疲労を訴えるドライバーもいるようです。これは、運転姿勢の影響によるものです。運転時の疲労は運転姿勢が大きく関係し、たとえば、シートの位置を適正な位置からずらしていたり、シートベルトを着用しない、背もたれを倒しすぎる、シートと腰の間を離して運転するなど、姿勢が安定しない状態では疲労が出やすくなります。
長時間の運転:長時間の運転では、休憩の取り方がポイントになります。「まだ疲れていない」と思いなかなか休憩をしない、疲れてからの休憩、そして、疲れすぎにならないように早めに取ることが良いとして、1時間おきに取るという取りすぎなどはかえって疲労をためることにつながります。

 

意識水準のリズムも影響する
 疲労には人間の持つ精神機能の日周リズム(概日リズム)もまた密接に影響します。人は1日24時間のなかで脳の睡眠・覚醒と身体の活動をコントロールする概日リズム(サーカディアン・リズム)があり、定期的に脳の意識水準が上がったり下がったりしています(上図)。このリズムは一般的に昼前後にピークにになり、上下しながら徐々に低下し夜明け前に最低となります。意識水準の低い時間帯での運転は疲労となり易く、また疲労した状態でこの時間帯に運転を続けるとボンヤリ運転、居眠り運転となり危険です。

 

運転疲労のサイン(症状)
疲労運転の三大症状は、
(1) 眠気(目がしょぼしょぼしてくる)
(2) 注意力低下(標識などを見落とす、他車の動きを見るのが億劫になる)
(3) 疲労感の増加(頭が重い、手足がだるい)
です。この症状が1つでも表れたら危険信号です。長時間運転の例でもう少し詳しく見ると右図のようなドライバーの動作の違いが観察されます。運転中にこのような疲労のサインが表れたら速やかに休憩をとります。

 

運転疲労の対策
疲労は休憩をとることで回復しますので疲れる前にこまめに休憩をとるようにします。ひとつの目安は運転2時間で一休みします。
眠気は疲労の一番大きなサインであり、これを感じたら速やかに運転を中止し、安全な場所で仮眠をとります。
運転計画に時間帯を考慮します。夜明け前に運転する、あるいは長時間運転後、夜明け前になるようなことを避けます。

 

 

安全運転知識ワンポイントテスト

忘れていませんか? 道交法
Q. 飲酒したが、一休みし酔いを覚ましたので、運転しても飲酒(酒気帯び・酒酔い)運転にならない?
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